現在発売中のForbes JAPAN1月23日発売号の第二特集は、「新たな豊かさ」を生み出し、持続可能な経済成長の新主役とも言える「インパクト・エコノミー」をテーマにした「IMPACT THE NEW CHAPTER Vo.2」。今回、フォーカスするのは、社会課題の解決を成長のエンジンととらえ、持続可能な社会の実現を目指す「インパクトスタートアップ」だ。インパクトスタートアップの「1年間の経営におけるチャレンジ」を表彰する「インパクト・チャレンジ・オブ・イヤー」という新企画を中心に、金融・資本市場、大企業、スタートアップ、官、地域で拡張し、「新章」を歩みはじめた日本のインパクト・エコノミーの新潮流を読み解いていく。
今回、WEBオリジナル記事として、インパクト投資家でありインパクト投資における有識者のひとりである、KIBOW社会投資ファンド インベストメント・プロフェッショナルの五十嵐剛志氏のnote「五十嵐剛志『留学/海外就職/インパクト投資』」に掲載された記事を、本人による再編集のうえ、Forbes JAPANに転載する。
「何が重要か」は誰が決めるのか
社会的インパクトと経済的リターンの両立を目指す「インパクト投資」は、いま世界的に注目を集めている。Global Impact Investing Network(GIIN)によれば市場規模は2024年時点で1.571兆ドルを超えた。一方で、現場には根深い問いが残る。投資が本当に社会に良い影響を与えているか、どうすれば分かるのか。
この問いに正面から向き合う概念が、インパクト測定である。しかし、実務上難しいのは「測定手法」そのものというより、「何をもって重要なインパクトとみなすか」にある。財務会計の世界では、重要性(マテリアリティ)は一定の枠組みに沿って判断される。だがインパクト投資では、誰にとって、どの価値を、どの時間軸で、どの程度重視するかが一致しない。結果として、投資家、起業家、そして本来中心に置かれるべき受益者とのあいだに、見えにくい対立が生まれる。
本稿では、Lehnerら(2022)が示した「インパクト測定におけるマテリアリティをめぐる対立」を手掛かりに、この問題の本質と乗り越え方のヒントを提示する。



