神戸市道路公社が管理する六甲山につながる道路ではカーブが多いので、スリップ事故が絶えない。そこで2018年度から、表面から1センチメートルほどにはアスファルト舗装にわざと隙間をつくった排水性がある舗装を導入。逆にその真下の舗装は、長く使えるようこれまで以上の緻密さと耐久性、いわば隙間ができない構造が求められる。
新しい舗装によって確かにスリップ事故は激減。排水効果は明らかだったが、耐久性に疑問が残ったので、2025年度にはインフラ物性研究機構が提案する真下の舗装に隙間ができにくい新たな材料を使って、約700メートルを片側2車線の道路で試験的に施工。そして、その効果をSPring-8も活用して見極めようとしている。
アスファルト舗装には、排水性と耐久性の両者が求められる。そこで将来にどう壊れていくのかを分子レベルで予測したうえで、新しい工法と材料をうまく選べると、一般的に約10年とされるアスファルト舗装の寿命を2倍以上にまで伸ばすことも考えられる。
切り札となった大型放射光施設SPring-8は、供用開始から30年近く経つが、いまもなお世界最高レベルの強力な放射光を生み出す。さらに放射光の強さを現状の100倍以上に高める「SPring-8-Ⅱ」への大規模改修も進められている。
放射光施設を、タンパク質や半導体材料のように目に見えない物質だけでなく、大雑把に捉えられがちな道路という土木構造物に使うのは、世界的にも珍しい。今後も日本で求められる社会インフラの「長寿命化」に向けた新しい手法として注目されていくことだろう。
連載:地方発イノベーションの秘訣


