職業柄、しばしば、色々な人から転職の相談を受ける。ときに、若手の人材から「現在の会社に満足できず、他の会社で新たな挑戦をしたい」との相談であり、ときに、年配の人材から「定年が近くなり、思い切って他の業界で働くことを考えている」との相談である。
しかし、残念ながら、多くの場合、こうした相談者が、一つ、誤解をしていることがある。
それは、自分にはこうした「専門知識」や「専門技能」があるから、他の会社や他の業界に移っても、活躍できると思い込んでいることである。
しかし、転職をするとき、新たな職場で活躍するためには、ただ「専門知識」や「専門技能」を持っているだけでは、不十分である。
これは、筆者自身が、人材の中途採用に長く携わった経験から、確信を持って言えることである。
では、転職のとき、何が求められるのか?
筆者は、これを、上記の「専門技能」(エキスパート力)に対して、「汎用技能」(プロフェッショナル力)と呼んでいる。
すなわち、転職で新たな職場に移ったとき、そこで活躍できるか否かは、実は、それまでの学歴と職歴の中で、この「汎用技能」を、どれほどしっかりと身につけてきたかが問われるのである。
では、その「汎用技能」(プロフェッショナル力)とは、いかなる力か?
本論では、端的に「五つの力」を述べておこう。
第一は「創造的コミュニケーション力」。これは、職場の仲間の智恵を集めて創造的なアイデアを生み出せる力であり、「彼/彼女がいると、会議が盛り上がり、色々な意見や新しい発想が生まれ、最後は上手くまとめてくれる」と評される力である。
しかし、この力の本質は、小さなエゴによる自己主張に流されず、メンバーの心の動きを敏感に感じ取り、彼らを適切に巻き込みながら、会議を進めていく力であり、極めて高度な能力に他ならない。
すなわち、この「会議力」とは、長年の修業を通じて磨き続けるべき奥の深い能力なのであるが、大半のビジネスパーソンは、残念ながら、「円滑な会議の進行」という次元の理解にとどまっている。



