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2026.01.31 08:00

71%の企業テック責任者、「経営陣のAIへの期待は非現実的」と回答

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ガバナンスのギャップ

短期の成果を急ぐ圧力は、ガバナンスがAI導入に大きく遅れている理由も説明する。AIの倫理的利用への懸念はほぼ一致しているのに、Solvdの調査で正式な監督体制を持つ企業は38%にとどまった。さらに41%は「AI利用の一部に限定した監督」を行い、19%は必要な場合にのみ非公式のレビューに頼っている。

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ローバックは、「問題の大きな部分は、多くのビジネスリーダーがガバナンスをイノベーションを遅らせるものだと見なしている点です。早く動いてAIのインパクトを示せという圧力がかかると、監督は邪魔者のように感じられ、後回しにされてしまいます」と語った。

「AIの倫理的利用」の事業価値と課題

それでもテクノロジーリーダーは、倫理を事業価値の障害ではなく、持続的成功に不可欠なものと見ている。調査では、54%が倫理的AI利用の主要な利点として「より高品質なAI出力」を挙げ、51%が「より良いプライバシー保護」、47%が「将来の規制への先回り」を挙げた。注目すべきことに、CIOとCTOの84%は今後12カ月でAI監督を強化する計画があると答え、23%は「大幅な」強化を見込んでいる。

しかし課題は、その意向を行動に移しながら、経営陣が求める急速なリターンも同時に出すことである。過半数(52%)が「高いAI基準の順守について全社的な賛同を得ること」を大きな課題として挙げ、46%は経営上層部そのものから抵抗を受けている。

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「ビジネス目標を実現する戦略的・計画的取り組み」という問題

パイロットが失敗するのは、技術が機能しないからであることは稀だ(それが起こることもあるが)。ローバックは、「多くのAIパイロットが失敗するのは、企業が『動いていること』を『前進』と取り違えるからです。誰もが『AIで何かをしなければ』と急ぎ、ビジネス目標を実現する戦略的・計画的取り組みでなければ、つながりのない取り組みの寄せ集めになります」と主張する。

ポートフォリオ・アプローチの勧め

彼は、いわゆるポートフォリオ・アプローチを勧める。勢いをつけるための「クイックウィン」(早期の成果)、リスクと意味のある成果のバランスを取る「段階的な賭け」、そして競争優位を再定義し得る「ゲームチェンジャー級の取り組み」といった複数のプロジェクトを組み合わせる考え方だ。ローバックは、「規律はAIを遅らせません。AIが実際のインパクトを届ける前に燃え尽きることを防ぐのです」と語った。

この慎重なアプローチは、テクノロジーリーダーにも響いている。スピードへの圧力があるにもかかわらず、調査回答者の67%は、徹底性を犠牲にする迅速導入よりも、「ROIは遅くなるが、倫理的AIのベストプラクティスをすべて守れているか確認する時間を確保する、計画的な導入」を好むと答えた。

持続可能なAIの成功と、上層からの非現実的なROI期待

テクノロジーリーダーが有効だと分かっていることと、組織が人事評価などの形で報いるものとのギャップは、より深い緊張関係を示す。CIOとCTOは、持続可能なAIの成功には、経営陣の足並み(アラインメント)、活動量ではなく成果(アウトカム)に結び付いた明確な成功指標、そして他の戦略的施策と同様の投資ゲート(段階的な意思決定)が必要だと理解している。だが、上層からの非現実的なROI期待に直面する人が71%に上る状況では、この規律を実装すること自体が組織的勇気を要する。

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翻訳=酒匂寛

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