米国の中国向け乗用車輸出が16年ぶりの低水準に沈んだ。減少幅はわずか1年で58.27%。ドナルド・トランプ米大統領が対中貿易戦争を仕掛ける前年の2017年比では、78.42%もの落ち込みだ。
中でも大きな影響が出ているのは、南部アラバマ州で製造され、米国最大の自動車輸出港であるジョージア州ブランズウィック港から出荷されるメルセデス・ベンツのSUVである。
この状況は中国にしてみれば、トランプ政権が発動した中国産品への広範な追加関税に対する精度の高い報復措置のひとつと言えなくもない。
米国の乗用車輸出に占める中国の割合は、2024年には8.33%でカナダ(26.23%)、ドイツ(13.40%)に次ぐ規模だったが、2025年10月までに4.07%に低下。10月単月では2.17%にまで縮小し、メキシコ(8.60%)、アラブ首長国連邦(4.93%)、韓国(4.40%)、サウジアラビア(3.06%)、ジョージア(2.90%)、ナイジェリア(2.28%)にも抜かれた。
トランプの貿易戦争で米大豆市場は前代未聞の事態に
米国の課した追加関税に対する中国のより顕著な報復措置は、2025年6月から10月にかけて米国産大豆の輸入を全面的に停止したことだ。米国勢調査局の最新データ(10月時点)によれば、5カ月連続の対中大豆輸出ゼロは前例がない。
中国は長年、米国が輸出する大豆の50%以上を購入する大口取引先だった。このためトランプ政権は譲歩を余儀なくされ、第1次政権時と同様の救済措置を発表するに至った。ただ、現在のところ買い付けの規模は大幅に縮小したままである。
一方、米国産乗用車について見てみると、2025年1月〜10月の中国の輸入額は18億4000万ドル(約2800億円)で、前年同期の44億1000万ドルから25億7000万ドル減少した。2017年同期の85億3000万ドルからの落差は68億9000万ドルに及ぶ。輸入総額18億4000万ドルは、2009年同期の7億5358万ドル以来の低水準だ。
背景には、米国と中国が自国の自動車産業と国民に対して掲げている政策の違いがある。



