ガソリンに未来を託したトランプ、EVで世界をリードする中国
トランプ大統領は2期目就任からの1年間で、電気自動車(EV)の購入補助金を廃止し、2031年までに乗用車と小型トラックの新車の燃費基準値を引き上げる企業別平均燃費基準(CAFE)規制を大幅に緩和するなど、ガソリンと内燃機関の未来に賭ける姿勢を打ち出した。また、これと合わせ、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から再び離脱し、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)からも脱退を表明した。
中国は別の方向へと舵を切っている。
中国政府は2030年までに新車販売台数の40%をEVにする目標を掲げ、メーカーに対応を義務付けている。中国も補助金の廃止を予定しているが、その理由は米国と全く異なる。──供給過剰だ。中国ではすでに国産のEVやハイブリッド車を含む「新エネルギー車(NEV)」が国内販売の50%を占めており、BYDを筆頭に生産するEVの約4分の1を輸出しているのだ。
中国の製造業が世界に及ぼす圧倒的な影響力は、今や自動車分野で歴然としている。その主な立役者が最大手BYDをはじめとする中国EVメーカーである。BYDは近い将来、乗用車の世界販売台数でフォードを抜き、トヨタとフォルクスワーゲンに次ぐ3位に浮上すると見込まれている。
カナダとメキシコの動きからも目が離せない
さらに、これまで米国にとって最も信頼できる同盟国のひとつであったカナダが今月初め、中国産EVを年間4万9000台まで最恵国待遇の関税率6.1%で輸入すると発表した。カナダと中国の協定では、割り当て台数は5年以内に7万台まで引き上げられる可能性がある。
これは、両国関係において180度の方向転換といっていい。カナダは2024年、ジョー・バイデン政権下の米国と足並みをそろえ、中国からの自動車輸入に100%の追加関税を課して実質的な禁輸措置をとっていた。
米国の最大の貿易相手国であるメキシコは、中国産EVに対する輸入関税を20%から50%に引き上げた。BYDはメキシコ国内や中国以外の国で生産することで関税を回避している。
米国に進出している各国の自動車メーカーも同じ手法を取っている。トヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダ、現代自動車、起亜、BMW、フォルクスワーゲン、中国資本傘下となったボルボ、そしてメルセデス・ベンツなどだ。労働組合が強い北部を避け、南部に立地する生産拠点が多い。
その輸出港がジョージア州のブランズウィック港である。


