ルッコラ、ケール、ホウレンソウなどの葉物野菜を1日あたり数トン生産するよう設計された、32万5000平方フィート(約3万平方メートル)の巨大温室が、この春、フロリダ州ニューベリー市で着工する予定だ。ニューベリーは、フロリダ大学近郊に位置する人口7342人の小規模な農業都市である。
この6600万ドル規模のプロジェクトを手がけるのは、タンパを拠点とするスタートアップ企業Harvest Singularity(ハーベスト・シンギュラリティ)だ。同社は環境制御型農業を専門とし、精密農業技術、AI(人工知能)、ロボット工学、センサー、自動化などの最新技術を活用する。同社の栽培プロセスは、従来の農業と比較して水の使用量を95%、土地の使用量を94%削減し、除草剤、殺菌剤、殺虫剤を一切必要としないと推定されている。
同社の目標は、フロリダ州内にこうした農場を10カ所開設することだ。
「私たちのビジョンは、フロリダ州内に複数の産業規模の農場施設を建設し、殺虫剤、殺菌剤、除草剤を使用せずに有機栽培の葉物野菜と果物を生産することです」と、最高経営責任者(CEO)のチャールズ・A・ガルザ氏は、市当局が発表した声明の中で述べた。
Harvest Singularityのようなプロジェクトの成長は、より強固な食料サプライチェーンの構築に対する全米的な関心の高まりを反映している。「これはフロリダ州の食料供給の安全保障に貢献します」と、ニューベリー市のコンサルタントであるカマル・ラサム氏は語る。同氏は、計画中の170エーカーのF-300アグフードテック・イノベーション・パーク(フロリダ州の主要300品目の特産作物にちなんで命名)に参入する最初の民間企業として、Harvest Singularityを誘致した。
Harvest Singularityは、フロリダ大学食品農業科学研究所(UF/IFAS)アラチュア郡普及事務所とスペースを共有する。フロリダ州は、州のフロリダ雇用成長助成基金を通じて、イノベーション・パークの道路および水道インフラ改善のために560万ドルの助成金を授与した。州は、この助成金が790の新規雇用を支援すると推定している。
12月、トランプ大統領は、食料サプライチェーンの安全保障を保護するための取り組みの一環として、食料サプライチェーンにおける反競争的行為と価格操作を調査するタスクフォースを設置する大統領令に署名した。「反競争的行為、特に外国資本の企業によって行われる場合、米国の食料供給の安定性と手頃な価格を脅かす」と大統領令は述べている。「近年、米国の食料サプライチェーンにおける特定の企業は、数千万ドル規模の価格操作の疑いで民事訴訟の和解にさえ至っている」
食料サプライチェーンへの懸念は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中に高まり始め、より身近な場所で食料を生産することへの関心が高まった。「地域の食品市場は、多くの場合、より短いサプライチェーンを持ち、より大きな柔軟性と迅速な対応時間を可能にし、地域の食品顧客基盤と直接コミュニケーションを取り、変化するニーズに迅速に適応する能力を持つ」と、米農務省(USDA)はコロラド州立大学の研究を引用した報告書で指摘している。地産地消のトレンドは、地元産農産物への需要、製品のトレーサビリティ、地域流通、腐敗や食品廃棄物の削減など、他の相互に関連するトレンドと同時に進行した。
地域の雇用創出への道として農業技術を優先してきたニューベリー市は、3月に開始された3カ月間のプログラムF-300アグフードテック・スタートアップ・アクセラレーターの拠点でもある。このプログラムは、起業家をメンターシップ、顧客、投資家と結びつけることを目的としている。「私たちはより多くの食料を生産するために技術が必要です」と、このプログラムを創設したラサム氏は語る。「2050年までに、地球上には少なくとも10億人以上の人々が増え、彼らに食料を供給する必要があります」
2つのスタートアップ企業がこのアクセラレーターを卒業した。MOOChanics(ムーチャニクス)は、飼料配合と医薬品が牛にどのような影響を与えるかを判定するための人工牛胃を開発した学生スタートアップだ。「このプログラムに参加することで、非常に多くの時間と労力を節約できました」と、MOOChanicsの最高製品責任者(CPO)であるアディサ・ハーディング氏は、アクセラレーターが録画したビデオの中で、スタートアップのメンタリングプログラムへの参加について語った。「私たちが考えもしなかった多くのことについて、問題が実際に発生する前に指導を受けることができました」
2017年にウクライナでキッチンテーブル・スタートアップとして始まったProFeed(プロフィード)は、現在750以上の顧客を持ち、ベルギー、オランダ、米国に事業を拡大しており、米国ではパナマシティに拠点を置いている。同社はIoT(モノのインターネット)とAIを活用して、農家が飼料を節約できるよう支援している。農家は、同社の給餌機(価格は1万5000ドルから20万ドル以上)を使用して、給餌プロセスの多くの詳細を精密に制御できる。たとえば、原料の順序、混合時間、レシピ内の飼料の完全な量などを制御し、最終的には乳生産量の増加と諸経費の削減に役立てることができる。
同社は、最も効果的な実践方法に関するデータを収集し、酪農業界のリーダーへのアウトリーチを行い、技術の改善を続けている。「私たちは、農家による、農家のための製品を作っています」と、CEOで共同創業者のセルヒー・リジコフ氏は、同氏と共同創業者のアンドリュー・シドルク氏とのインタビューで語った。「私たちは常に農家からフィードバックを得て、製品を改善しています」



