こうした背景から、先週開かれた日銀の政策決定会合は近年で最もサスペンスを欠くものになった。植田のチームが政策金利を据え置いたのは、ひとつには引き続き金利の正常化を進められるような状況にないからだ。高市は政府がアクセルを踏み込む姿勢であることを明確にしているし、トランプ関税は日米両国の経済成長見通しに悪影響を与えている。
こういったもろもろの事情から、日銀はこれまで引き上げてきた金利を維持できるのか、それとも後退を余儀なくされ、再び利下げに転じるのかという疑問が生じている。
高市率いる与党・自由民主党は、自分たちの意向に日銀を従わせてきた長い「実績」がある。高市の政治の師で、2012年から2020年まで長期政権を築いた安倍晋三元首相は、日銀を丸め込んで国債市場を買い占めさせ、日銀を東京株式市場の「筆頭株主」にもした。その結果、2018年までに日銀のバランスシートは日本の国内総生産(GDP、当時約550兆円)を上回る規模に拡大した。これは主要7カ国(G7)で例のないことだった。
こうしたリスクを踏まえれば、FRBが中国人民銀行のような機関にされるのを回避しようと苦闘している現状を日銀は見て見ぬふりをしている場合ではない。もし植田のチームが、FRBは米国の制度上の歯止めによって守られると考えているのなら、考えを改めるべきだ。日銀は声を上げるべき時である。



