アジア

2026.01.28 10:00

トランプによるFRB支配の試みに「だんまり」を決め込む日銀

米ワイオミング州ジャクソンホール付近のグランドティトン国立公園を歩く米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長(左)、日本銀行の植田和男総裁(中央)、欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁。2025年8月22日撮影(Natalie Behring/Getty Images)

日銀は、トランプとパウエルの対立のような、世界中で論議を呼ぶ問題に関わるのは方針に反するとの立場だ。東京では、こうした問題には沈黙を保つことで、日銀は政治による干渉から守られると考えられている。理屈としては確かにそうなのかもしれないが、米国で生じているのはFRBの存立に関わる脅威であり、中央銀行が適切に、責任をもって金融政策を実施する能力そのものが脅かされているのだ。

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元日銀チーフエコノミストの重原久美春はジャパン・タイムズ紙に寄稿した論説で、「この論理には欠陥がある」と指摘している。「中央銀行の独立性とは、説明責任が免除されることを意味するのではない。それは裁量権が委ねられていること、つまり、日々の政治圧力から隔離されて政策決定を行う権限が与えられていることを意味する。この委任が持続可能なのは、中央銀行側が、その裁量権をどのように行使しているか、どんな前提に基づいて決定したのか、どこに不確実性があるのかといった点について説明する場合だけだ」

いま日銀の声を聞く必要がある理由は2つある。ひとつには、日銀はすでにFRBよりも独立性が低いとみられる状況があるからだ。日銀の独立性は1998年4月の法改正で明確にされた。とはいえ、それから1年もたたないうちに日銀は金利をゼロ近辺まで引き下げ、以来、日本の金利はそれほど大きく動いていない。

植田のチームは昨年12月、政策金利を30年ぶりの高さに引き上げたが、その利率はと言えば0.75%にとどまっている。真に独立した中銀であれば、金利を延々とゼロないしその近辺にとどめたりはしないだろうし、量的緩和をだらだらと続けたりもしないはずだ。だが、就任からまだ3カ月あまりの高市早苗首相が経済対策で財政の蛇口を再び開こうとするなか、植田日銀はまさにそれをやっている。

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日銀からの声を聞きたいもうひとつの理由は、日本は米国債の最大の保有国であり、その額はおよそ1兆2000億ドル(約183兆円)とダントツに多いからだ。日本はトランプに対して、ホワイトハウスが日本のこの莫大な資産を守ってくれることを期待しているとはっきり伝えるべきだ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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