揺るぎない基盤が伴わない状態で、変革を推進する
激動の環境下で変革をリードするには、これまでとは異なる姿勢が求められる。到達点よりも方向性に重点を置くことだ。リーダーは、確実性を約束するのではなく、組織全体で能力を構築することにシフトする必要がある。
第一のシフトは心理的なものだ。リーダーは、安定がすぐそこにあるというメッセージを伝えるのを止めなければならない。その約束はほとんど実現せず、失敗すれば信頼性を損なう。代わりにリーダーは、変動性を率直に認め、変革を、「変動を回避する手段」ではなく、「変動を乗り切る方法」として位置付けるべきだ。
筆者が、デンマークの国会議員を務めたエレン・トラーネ・ノービーとヘルシンキで話した時、同氏は「安定性が一時的に欠けているだけで、すぐに回復するものだと思い込むような振る舞いをやめなければならない」と述べた。大臣を務めたほか、複数企業の取締役や会長を務め、現在は英レディング大学ヘンリー・ビジネス・スクールでMBA取得を目指している同氏は、リーダーたちは今や、不確実性が妨害物ではなく背景となっている状況で活動していると付け加えた。
この観察が重要なのは、リーダーのタスクを再定義するからだ。ノービーは、危機的状況や政治的衝撃を描写したわけではない。核心は基本前提にある。リーダーが、安定が戻るかのように変革を設計し続ける限り、イニシアチブは脆弱に感じられる。変動性を前提として捉えるとき、変革は、より信頼性が高く、より適応力のあるものとなる。
同じ会話の中でノービーは、より実践的な指摘もした。リーダーは、環境が落ち着くのを待ってから決断を下すわけにはいかない。今果たすべき責任は、状況がまだ変わりつつある中で行動を起こすことだ。明確さがやって来ることを期待して、変革を遅らせることではない。
第二に、変革は、より短い時間的視野を必要とする。リーダーは、複数年にわたる変革の物語ではなく、短期的な適応サイクルが続く状態に焦点を当てるべきだ。今重要なこと。我々が試していること。学んでいること。こうした姿勢により、状況が変わる中でも、変革は適切なものであり続ける。
第三に、リーダーは、予測ではなく原則に基づいて変革を推進しなければならない。状況が変わっても意思決定の指針となるものを理解していれば、人々の自信は高まる。原則は、計画よりもうまく伝わりやすい。
最後に、リーダーは実行だけでなく、意味づけにも投資する必要がある。変動が激しい状況では、人々は、外部事象が自身の仕事にとってどのような意味を持つのか、解釈する手助けを必要としている。沈黙は不安を生む。考え抜かれた思慮深い枠組みは、主体の力を回復させる。
現在効果的な変革の形
不安定な状況下における効果的な変革は、スムーズなものとは感じられない。それは反復的に感じられ、直線的というよりは、方向性を重視する。リーダーは、前提を率直に見直し、優先順位が変わる理由を説明し、適応を、失敗ではなく能力として扱うのだ。
これは重要なことだが、リーダーは意味を守る。世界が不確実に感じられる時、人々は、変革が依然として重要である理由を知る必要がある。それは抽象的な言葉ではなく、企業が対応し、耐え抜き、適切さを保つ上で、変革がいかに役立つかという意味においてだ。
今最も苦戦しているリーダーは、計画を持たない者たちではない。いまだに、安定が戻りつつあるかのように振る舞い続ける者たちだ。それに対して、信頼を得るリーダーは、変動性を一時的な妨害物ではなく前提条件として扱う。変動性がすぐに過ぎ去るようなふりをせず、人々がその中で行動できるよう支援する者たちだ。
今、変革をリードする上で最も難しいのは、待ち望んでいる平穏な段階が存在しないかもしれないという現実を受け入れることだ。かつてだったら、安定すると想定していた状況が、流動的なまま何年も続く可能性がある。
成功するリーダーとは、未来を最も正確に予測する者ではなく、基盤が揺れ動く中でも変化できる企業を築く者になるだろう。


