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2026.02.02 11:30

2026年、プロンプトエンジニアリングが「最も価値のあるAIスキルではない」理由

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指示役からマネージャーへ

AIが受け身の道具から、仮想ワーカーで構成される能動的なエージェント型の仕組みへと進化するにつれ、リーダーはデジタル労働力のマネージャー、あるいは統括役(オーケストレーター)として考える必要がある。

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つまり、目標を定義し、ガードレール(制約・安全柵)を設定し、自動化だけではまだ十分に対応できない要所で人間の判断を利かせることである。

たとえば、新規顧客のオンボーディング(受け入れ手続き)を担う銀行のエージェント型ワークフローを考える。目的は単純で、顧客を最初の問い合わせから本人確認済みの口座保有者へと移行させることだ。AIシステムは必要書類を集め、コンプライアンス(法令遵守)とリスクのチェックを行い、やり取りの往復を管理する。

当落線上のリスクスコアや、通常と異なる顧客プロフィールが生成されたときなど、重要な局面では人間の判断が介入し、ニュアンスを解釈し、機械にはまだ及ばない「360度の総合的な理解」を適用する。

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このモデルに従う場合、人間の仕事の価値は、完璧な指示を与えることに限定されなくなる。自律的なワークフローを、人間のチームをマネジメントするときに求められるのと同じ判断力、能力、洞察力で監督することに移るのだ。

そのためには、拡大するエージェント型の仕組みを、戦略的な事業目標や優先順位にどう整合させるかについて深く理解しなければならない。そして決定的に重要なのは、それを安全で効果的で、説明責任を果たせる形で行うことである。

人間のスキル

つまり、AIスキルはもはや技術スキルではない。リーダーシップのスキルなのだ。人間のリーダーシップと同様に、コミュニケーション能力、プロジェクト管理、批判的思考、ドメイン(業務)知識、そして経営レベルの意思決定がワークフローの成果にどう影響するかの理解が組み合わさる。

例えば、エージェントが大きな可能性を示している別の業務領域として、サプライチェーン管理がある。需要予測を扱い、季節要因の変化に反応し、在庫水準をリアルタイムで最適化し、発注書を作成し、運送・物流パートナーと調整できる。

しかし、人間はより上位の戦略的意思決定を担う。例えば、サプライヤーとの交渉、サステナビリティや倫理的調達の要件設定、強靭性(レジリエンス)とコスト効率のバランスを取った在庫設計、例外的な状況が起きた際に通常の基準を外れる行動を承認すること、などである。

採用のワークフローでは、エージェントが応募者を絞り込み、履歴書を求人の空きポジションにマッチングできるが、人間は、その職務にとって何が最も重要な資質かを決め、候補者が組織文化に合うかどうかについて判断しなければならない。

どちらの場合も、AIワークフローの成果は、人間のマネージャーの判断、自動化の限界を理解する能力、そして自分自身の意思決定をどこで介入させるべきかの理解に大きく左右される。

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翻訳=酒匂寛

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