YouTubeが生成AI問題を抱える理由
YouTubeのアルゴリズムは、動画を高頻度で投稿するチャンネルを優先的に評価する設計となっている。そのことがAIスロップを大量に公開する低品質なチャンネルに有利に働き、より時間をかけて制作を行う人間のクリエイターに対して優位性を与えている。
動画編集サービスを提供するKapwingの調査によれば、YouTubeのアルゴリズムが新規ユーザーに表示する動画のうち、20%以上がAIスロップに該当するという。
YouTube上では、実在しない出来事を史実のように語る偽の歴史チャンネルや、退屈した幼児をターゲットとする、支離滅裂なAIアニメが公開されている。人間の手を介さないコンテンツが、人間の制作スピードをはるかに上回る勢いで量産されているのだ。
YouTubeショートがAIスロップを助長
YouTubeは2020年、TikTokに対抗する形でショート動画機能「YouTubeショート」を導入し、「脳腐れ(ブレインロット)」とも評される奇妙なアニメシリーズ『スキビディ・トイレ』が注目を集めた。
もっとも、この作品はAIスロップではなく、ユーチューバーのアレクセイ・ゲラシモフが単独で制作した、人間による創作物だ。一方、生成AIの普及によって、「脳腐れコンテンツ」を作るためのハードルは大きく下がり、いまやかつてないほど容易に量産できるようになった。
YouTubeがショート動画を積極的に推進したことは、結果としてAI主導の低品質化競争を加速させた。ショート動画では、素早いカットやインパクトの強い映像が重視されるが、これらは動画生成AIの得意分野だ。
視聴者もまた、ショート動画を短時間で消費し、すぐに忘れ去る「使い捨てコンテンツ」として受け止めており、通常のYouTube動画のような物語性や一貫性を期待していない。
AIスロップは、感覚を過剰に刺激するコンテンツであり、栄養価のない「空虚なカロリー」に等しい。視聴後に残るのは、「今、何を見せられたのか」と戸惑う感覚だけだ。
YouTubeが、AIスロップの取り締まりに本腰を入れることが期待される。さもなければ、視聴者が関心を別の領域へ移す可能性も否定できない。


