英資源大手アングロ・アメリカンとカナダの同業テック・リソーシズが2025年に合意し、各国・地域当局の承認プロセスが進んでいる合併は、ほかならぬ銅を軸としたものだ。銅価格は過去1年で40%超上昇しており、足元では1ポンド6ドル前後と史上最高値圏で取引されている。
資源業界ではさらに、英豪系のリオティントとスイスのグレンコアも経営統合の合意に近づきつつある。リオティントは銅の採掘で世界8位、グレンコアは9位で、合併が実現すれば首位に躍り出る見込みだ。
両社が模索する対等合併の動きは、世界3位の銅採掘会社で、アングロ・アメリカンとの合併を昨年試みた豪BHPグループも注視している。
銅事業の強化に奔走する資源各社
BHPが銅資産の拡大を渇望しているのは明らかであり、リオティントとグレンコアの合併に割って入る可能性もある。
こうした業界再編の動きは、各国・地域の政府、とりわけ中国、米国、欧州の政府も注意深く見守っている。
一方、米コンサルティング会社S&Pグローバルは、2040年までに世界全体で年間1000万トンの銅不足が生じるとの見通しを示している。これは現在の需要の33%に相当する。
S&Pグローバルは、銅のこうした供給不足は世界経済に対する「システミックリスク」をもたらすと警鐘を鳴らす。
S&Pグローバルのダニエル・ヤーギン副会長は英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、銅を電化の「偉大な推進役」と表現する一方、電化の加速ペースがますます大きな課題になっていると指摘した。
「問題は、銅は進歩の推進役であり続けるのか、それとも成長やイノベーションのボトルネックになってしまうのか、という点です」(ヤーギン)
中国は間違いなく基本的な工業金属の重要性を理解しており、だからこそ鉱業や精錬、付加価値を高める加工工程に多額の投資をしてきた。
ほかの国々は中国に対する遅れを懸命に取り戻していくか、それとも中国が支配する不可欠な金属について、中国側の要求する価格を支払うかを余儀なくされている。


