海外旅行などの時差ボケも、夜勤による睡眠の乱れも、体内時計と実際の行動がマッチしないために起きる障害だ。とくに辛い東周りフライトによる時差ボケを緩和する方法は、これまでいろいろ言われてきたが、簡単に体内時計の調整ができる飲み薬が開発される可能性が出てきた。
豊橋技術科学大学、金沢大学、大阪大学、東京科学大学による研究グループは、哺乳類の体内時計を制御する概日時計遺伝子に作用する化合物Mic-628を発見した。マウスの実験では、これを口から飲ませると体内時計が2時間進むことがわかった。体内時計は、概日時計中枢の脳視交叉上核だけでなく、全身の末梢組織にあるが、この物質はそれらをすべて2時間進めるという。
たとえば午後1時羽田発の飛行機でロサンゼルスに飛ぶと、飛行時間を12時間程度とすると、現地到着はその日の朝の6時ごろになる。日本時間は夜の11時ごろ。そろそろ寝ましょうという時刻が早朝になるわけだ。実質的にロサンゼルスの1日を7時間遅れで過ごすことになる。
ずーっと眠い昼間を我慢してようやく夜になっても、体内時計は朝なので、今度は眠れないという悪循環。概日リズムを7時間進めることができればロサンゼルスにぴったり同期できるのだが、2時間だけでも、昼間の活動によって調整できる可能性は高くなるから大助かりだ。
Mic-628は、概日時計遺伝子を「特異的に誘導」するとのことで、ほかへの影響はあまりなさそうだ。また、いつ飲んでも2時間進み、元に戻ることがないとのことで、東周りフライトによる時差ボケや、深夜シフトによる就寝時刻のズレが生じる問題を、ごく手軽に緩和してくれる飲み薬の開発が期待できる。



