キャリア

2026.01.28 15:00

「恐怖で支配する上司」のもとで自分を守り、成果を出すためのヒント

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そもそもリーダーが、恐怖をよりどころにするのはいったいなぜなのだろうか? ローリーによれば、手軽さとエゴが、その主な要因になっているという。

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「リーダーの中には、人を鼓舞するよりも怖がらせるほうが簡単だからという理由で、恐怖心に訴える者もいる。劇的な反応が得られて、事態が進展したかのように見えることから、彼らはこうした手段を気に入っている。周囲の人たちが慌てふためくのを見ると、自分が優位で、力があるように感じるのだ」

こうしたリーダーが組織にもたらす損失には、どのようなものがあるだろうか? 「損失は非常に大きい」とローリーは断言する。「スタートアップからフォーチュン500企業まで、ありとあらゆるタイプの会社で、私はそうした事例を見てきた」と語る同氏は、このような環境では「イノベーションが完全に窒息してしまう」と付け加えた。

恐怖心は、創造力の表出を阻み、アイデアを抑え込み、問題を浮上させず、隠すように促す。「失敗した際に身の安全が確保されない場では、人はほぼ間違いなく、問題が拡大して最悪の状況に至るまで隠そうとするものだ」と、ローリーは指摘する。

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悪影響は、組織に対するものだけでなく、個人の心理面にも及ぶ。「大半の人は、自分の心を守るスキルを持ち合わせていないため、職場での恐怖が深く心に刻まれ、すっかりやる気をなくしてしまう」と、ローリーは指摘する。「こうした環境に置かれた人は、気分の落ち込みや動揺、不安定さを覚えることが多い。さらに、自分の現状認識や、仕事への適性も疑い始める。こうした状況は深い傷を残し、傷が癒えるまでに数年かかることさえある」

ローリーは、恐怖心が脳の機能を根底から崩壊させる仕組みについても解説してくれた。「神経系においては、恐怖に支配された状態をきっかけに、『扁桃体ハイジャック』が起きる。ストレスホルモンが急速に分泌されることにより、脳はいわば『非常ベルを押された』状態になり、闘争/逃走/凍りつき/迎合(fight/flight/freeze/fawn)反応が引き起こされる。

こうなると脳のうち理性を司る部分は、シャットダウンする。心拍数が上がり、大量のアドレナリンやコルチゾールが体内を駆けめぐると、人は最も基本的な生存本能に支配され、いかなる形の意思決定や創造性、問題解決能力にもアクセスできなくなってしまう」

リーダーが部下を率いる際に、恐怖心が建設的に機能することはないのだろうか? この質問に対しても、ローリーの答えは明確だった。「恐怖心とリーダーシップは相容れないものだ」と、同氏は断言した。「真のリーダーは、部下が成功するための下地を作り、彼らのニーズに耳を傾けて理解することで、その可能性を解き放ち、その後は部下の好きなようにさせる。このプロセスに、恐怖が入り込む余地はない」

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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