これらの知見を総合すると、アンダルガロルニスは、獲物を組み伏せたり、引き裂いたりするのではなく、高速の打撃に特化していたことが示唆される。論文著者らは、彼らがくちばしを振り下ろして打撃する「ヒット&アウェイ」の狩猟戦略をとっていたと主張する。すなわち、正確に狙ってから、致命傷を与えるような強烈な打撃を繰り出し、そのあとは、獲物を組み伏せるのではなく、いったん撤退するという戦略だ。
これは、彼らのくちばしが、上下で咬み合う顎というよりも、むしろ斧のように作用する構造だったと見られることを意味する。頸部の筋肉および頚椎構造の分析結果も、この解釈を支持している。いずれも、攻撃時の急加速と、精緻に調整された減速に適していたのだ。
さらに恐鳥類は、信じがたいほど高速で走ることができた。2005年に『Proceedings of the Royal Society B』に掲載された研究によれば、比較的足が遅い、フォルスラコス科のパタゴルニス(Patagornis marshi)でさえ、時速約50kmで走行することができ、俊足のフォルスラコス科であるメセンブリオルニス(Mesembriornis milneedwardsi)に至っては、時速97kmという驚異的なスピードに達したと推定される。現生の動物でこれほどの高速走行ができるのはチーターだけだ。
この論文でフォルスラコス科は、極めて頑丈な脛骨のおかげで、獲物との距離を素早く詰めることができたと説明されている。ただし彼らの趾(あしゆび)は、小型の獲物を抑え込むのには役立ったかもしれないが、主な「凶器」ではなかった。攻撃の大部分はくちばしの振り下ろしで、これにより効率的にダメージを与えることができたため、獲物が長く暴れることはなかったようだ。
フォルスラコス科を恐ろしいものにしていたのは、唯一無二の特殊化だ。彼らは、大型の肉食哺乳類がほとんど、あるいはまったくいない生態系における捕食者として、スピード、奇襲、正確性を極め、その覇者となった。
恐鳥類が絶滅した理由と、現代への教訓
数十年にわたり、恐鳥類の絶滅は、すっきりした筋書きで語られてきた。これによれば、約300万年前の鮮新世に、北米と南米がパナマ地峡でつながったことで、両大陸のあいだで動植物が行き来する「アメリカ大陸間大交差」が起こり、このときに有胎盤類の肉食性哺乳類が、北から南に侵入して、恐鳥類との競争に勝利した。要するに、鳥類の負け、哺乳類の勝ちというわけだ。


