サイエンス

2026.01.30 18:00

超高速で走る肉食の鳥「恐鳥類」は、いかにして絶滅したのか

フォルスラコス科「恐鳥類」のイメージ(Shutterstock.com)

同論文は、骨の微細構造と成長パターンの分析に基づき、恐鳥類には、島嶼に分布する鳥類や、生態学的遺存種(ecological relics:以前は広く分布していたが、そのほとんどで絶滅し、限られた地域でのみ生き残る種)であることを示す生理的特徴が見られないと結論づけた。彼らの成長パターンは、活動的で、行動圏が広く、長期間にわたって進化的圧力にさらされながら生き延びてきた動物であることを裏づけるものだった。

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繁栄していた頃の恐鳥類は、サバンナ、氾濫原、草原といった、比較的開けた景観の中を動き回っていたと見られる。こうした環境では、捕食者も被食者も目につきやすいため、スピードがものを言う。これに関して恐鳥類は、長い脚と細身の胴体のおかげで、高い持久力と走行効率を実現していた。彼らは、「重い一撃」だけに頼る必要がなかったのだ。

猛禽類とは異なり、恐鳥類はまったく飛翔能力を持たなかった。また、肉食性哺乳類とは違って、歯や、柔軟に動く顎も備えていなかった。代わりに、彼らは極めてユニークな解決策を編み出し、鳥類のボディプランのまま、大型の地上性捕食者として君臨した。

彼らの日常は、監視と追跡を中心とした、以下のようなものだったと考えられる。

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・周囲を見渡し、獲物の動きを探索
・瞬時に急加速して追跡
・広いなわばりを防衛し、捕食者としてのライフスタイルを維持

恐鳥類の形態からは、彼らが鋭敏で機動性に長け、洗練された行動を示していたことが見て取れる。時に通俗的なイメージとして描かれるような、のんびりした鈍重な生き物とは程遠かったのだ。

「恐鳥類」という名前の由来

恐鳥類は、大げさでなく恐るべき鳥たちだったが、だからといって、無差別に凶暴性を示したわけではない。生体力学研究により、彼らが特異な狩猟戦略を採用していたことが、はっきりと浮かび上がってきた。

2010年に学術誌『PLOS One』に論文が掲載された研究では、フォルスラコス科の中型種であるアンダルガロルニス(Andalgalornis steulleti)の頭骨がCTスキャンにかけられ、構造解析の手法の1つである有限要素解析が行われた。解析の結果は、中型種ではあるものの恐るべき存在であったことを物語るものだった。

解析された頭骨標本は、前後軸に沿っての剛性が並外れて高く、縦方向の大きな負荷を吸収することができたことが示唆された。一方、横方向への負荷には比較的弱かったこともわかった。また、咬合力は推定で133ニュートンと、体高1.4mというサイズの捕食者としては、比較的小さかったことも明らかになった。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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