AIはもはや便利な道具を超えて、人の悩みを聞いたり励ましたりしてくれる存在になった。だが、ドラえもんのように「人情」に厚いわけではない。ユーザーのプロンプトに対してそれらしく生成した言葉に、人間が勝手に感情移入しているに過ぎないのが現状だ。
とは言え、今後どんどんAIが進歩していけば、いずれはもっと人間に近い存在になることは間違いない。そうした進化の道筋を、アニメやSF映画に登場するAIから学ぼうという提案が筑波大学によってなされた。
筑波大学システム情報系の星野准一准教授らによる研究グループは、映画、アニメ、文学、ゲームなどのフィクション作品に登場するAIが、人間とどのような共生関係にあるかを体系的に分析したところ、フィクションのAIの描かれ方が、「単なる道具的存在」から「対等なパートナー」へと役割や位置づけが段階的に変化していることを明らかにした。
分析に使用したのは、1950年代から2020年代にかけて発表された42作品。物語のなかで明確な役割を持ち、人間と継続的に関わるAIキャラクターが描かれているものを選んだ。そして、AIキャラクターの名前、人間との関係性、自律性、感情表現などの観点を設定し、台詞や行動を整理し、「人とAIの共存に対する文化的・感情的な受容の形成過程を比較可能な形で評価」したということだ。
そうすることで、AIキャラクターと人間との関係性の変遷が明確にされた。これは、人間がAIをどのように理解し受け入れてきたかを知る「文化的認識」の変遷を反映しているという。
研究グループは、この研究成果が今後のAIキャラクターの設計指針として活用され、AI倫理やAIの社会受容に関する議論の新たな基盤になることを期待している。



