「僕がいいと思うものは、ただ高価なものではありません。自分でいろいろな商品やサービスに触れ、『これが一番お客様に喜んでもらえる』と確信できるものです。30年間、『儲ける』という言葉は使ったことがありません。さまざまな事業がうまくいったのは、お客様に素晴らしいサービスを提供することを第一に考えるのが利益につながると、自分自身にも言い聞かせ、パートナー(従業員)も伝えているからです。GMOには8000人のパートナーがいますから、実際に『儲ける』と言ったことがないかどうかは彼らに聞けばわかりますよ(笑)」

とりわけブルゴーニュワインに関しては造詣が深く、熊谷の「おもてなし」を設計するうえで欠かせない重要な要素だ。ブルゴーニュ地方にはこれまで何度も足を運び、現地の醸造家とも交流してきた。GMOワインという会社もあるが、もともとは熊谷が個人でワインを管理するために設立したもので、現在はグループ企業の一つとなっている。4人のワインソムリエを擁し、その一人は「ブラインドテイスティングでは勝てないことも多い」と話すほど。施設内には約10万本のブルゴーニュワインを抱える店舗も構えている。ワインの提供は、単に見栄えをよくするためではなく、熊谷が自信をもって提供できる確信があるという前提のもとで行われているのだ。
GMOインターネットグループもつデジタル技術を駆使したイマーシブ体験と、リアルだからこそ可能なおもてなし。この両方を組み合わせたワイン会は、熊谷自身が一貫してもちつづけてきた「おもてなし」の哲学を体現すると同時に、GMOという企業グループを象徴する場でもある。
ブランドの世界観を体現する場に
この空間はGMOだけのものではない。OMAKASE青山ガーデン byGMOにはすでに、複数のラグジュアリーブランドから利用の問い合わせが来ている。
「ブランドをもつ企業のマーケティングの主戦場はいまデジタルになっています。ただ、顧客やファンに、世界観を浸透させていくにはリアルな場所が必要で、彼らにとってこの場所は非常に相性が良い」と熊谷は言う。
今回、GMOがワイン会を通して企業の哲学を体現したように、それぞれのブランドが伝えたいイメージを、大型のディスプレイやバーカウンターを活用して表現できる場として、今後はレンタルしていく予定だ。


