圧力ではなく「選択」としての996
24歳のOctolane共同創業者兼CEO、ワン・チョウドリーにとって、996のスケジュールは苦行の勲章ではない。意図的な戦略である。
「なぜ996で働くのか」とチョウドリーは問う。「燃え尽きを追いかけているのではない。脱出速度(エスケープ・ベロシティ)を追いかけているのだ」
「この段階のスタートアップに必要なのはスピードだけではない。執着だ」と同氏は言う。「誰かに強制されているからではなく、自分で選んでこう働いている。圧力ではなく、野心だ」
チョウドリーにとって、996はもはや例外ではない。最低条件になった。
「以前は誇示するものだった。いまは基準だ」と同氏は言う。「トップ1%の創業者は、仕事そのものが報酬になる人生を設計している。外から見れば激しく見えることも、内側から見ればただのフロー状態だ」
ただし、犠牲は現実のものだ。
「私のカレンダーは意図的だ。犠牲はそうではない」と同氏は言う。「パーティーも週末も睡眠も断る。痛みが好きだからではない。進歩が好きだからだ。混沌は華やかではないが、目的がある」
そして同はこう付け加える。「996より最悪なのは、後悔だ」
若い創業者が「すべてを最適化」する理由
この新しい世代は、長時間働くだけではない。科学的な精度で生活そのものを最適化する。
チョウドリーはアルコールを飲まない。それは見せかけの禁欲ではなく、効率のためだ。
「勢いを追いかけている」と同氏は言う。「明晰さが欲しい。20代を飲み潰すより、20代を覚えていたい」
同氏は長寿研究者ブライアン・ジョンソンの動向を追い、自分の人生を継続的な実験として扱う。インプットを測り、アウトプットを磨く。休息ですら、捉え直される。
「休息は、必ずしも睡眠ではない」と同氏は言う。「不可能だと思っていたものをリリースした後、天井を見つめている時間のこともある。午前2時に共同創業者へ『本当にやってるな』とテキストを送ることもある」
人間関係を排除するわけではない。ただし、方向性が揃っていなければならない。
「これは仕事ではない」とチョウドリーは言う。「戦争だ。バランスはない。あるのはアラインメント(方向性の一致)だ」
新しい創業者像はより若く、より「主体性」が高い
AIスタートアップCTGT共同創業者兼CEOのシリル・ゴルラ(23歳)は、この新たな創業者像を体現している。
ゴルラはスタンフォード大学を中退して起業した。CTGTはGoogleとGeneral Catalystの支援により750万ドルのシードラウンドに成功。サンフランシスコで約6000平方フィートのスペースを構え、フォーチュン500企業の幹部を定期的に迎えている。
同氏のスケジュールは容赦がない。
「オフィスにいると、帰るのは午前3時か4時ごろ」とゴルラは言う。「そして翌日また戻ってくる」
車は運転しない。Waymoに乗る。なぜなら、20分余計に働けるからだ。
アルコールは飲まない。気分転換のためにジムへ行く。Slackは常時オンだ。
「仕事だと感じない」とゴルラは言う。「意味のあるものをつくっていると、それ自体が生命を持つようになる」


