経営・戦略

2026.01.27 08:30

真のAIブームは、エヌビディアではなく「天然ガスと銅」にある

Joe Raedle/Getty Images

送電網を持つものが希少性の対価を獲得する

電力容量の市場では、その希少性は請求書の上に表れる。

advertisement

PJMインターコネクションが2025年12月に実施した容量オークションでは、2027年から2028年向けの受け渡し価格が、連邦エネルギー規制委員会の価格上限である1メガワット日あたり333.44ドルという過去最高水準に達した。その後、モニタリング・アナリティクスは、164億ドル(約2兆5400億円)の総コストのうち65億ドル(約1兆83億円)、すなわち40%がデータセンターに起因したものだと算出した。その大半は、まだ建設されていないが、受け渡し年までに稼働する可能性のあるデータセンターに関連していた。

過去3回実施されたPJMのオークションを合計すると、データセンターに起因するコストは213億ドル(約3兆3100億円)に達し、総額472億ドル(約7兆3200億円)の45%を占めている。

需要の変化もまた重要な手がかりである。AEP(アメリカン・エレクトリック・パワー)オハイオが、最低支払い率85%、12年契約、3年分の料金に相当する解約金を義務付ける料金規則を導入した後、同社のデータセンター向け需要は30ギガワット超から13ギガワットへと縮小した。オハイオ州製造業協会はこの規則を差別的だとして異議を唱えているが、この仕組みは重要な事実を示している。「需要」の相当部分は、実際の計画ではなく、選択肢にすぎなかったという点である。

advertisement

トランプ政権は、これをさらに加速させようとしている。2026年1月16日、エネルギー長官のクリス・ライトと内務長官のダグ・バーガムは、13州の知事とともに、PJMに対し、15年間のPPAを伴うデータセンター向けに特化した容量オークションの実施を要請した。目的は、約150億ドル(約2兆3300億円)規模の新規発電所建設を支援することにある。ペンシルベニア州知事のジョシュ・シャピロは、改革が採用されなければ同州はPJMからの離脱も辞さないと警告した。

銅はAIの物理レイヤーである

仮にAIがより効率的になったとしても、そのインフラ構築には以前として配線の問題がつきまとう。

最近の推計によれば、データセンターは2030年までに年間約50万トンの銅需要を新たに生み出す可能性がある。しかし、送配電に関わる需要はもっと大きい。ある詳細な分析では、送配電に関わる銅の需要は、2040年までに年710万トンに達すると予測されている。

LME銅価格は、2026年1月6日に1トン当たり1万3387ドルという史上最高値を記録した後、1月中旬には約1万2800ドルまで下落した。2025年の年間上昇率である42%という数字は、2009年以来で最高だった。

鉱業における課題は地質だけではない。時間である。大規模な新規採掘プロジェクトは、資源の発見や承認手続きを経て、十分な生産量を達成するまで、10年以上の時間を要することが多い。供給は、四半期ではなく、年単位で需要の急増に遅れるのだ。

次ページ > 重要鉱物:集中は地政学的な増幅装置

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事