米国のドナルド・トランプ大統領は就任から1年を迎えた。同大統領はこの1年、連邦政府の支出削減や国境の警備強化、外国製品への関税賦課、国家安全保障の強化を推進してきた。
同大統領の最優先課題の1つは中国との大国間競争であり、その延長線上として、石油、天然ガス、レアアース(希土類)を含む天然資源や鉱物の確保を進めてきた。同大統領はまた、米国の敵対国によるこれらの戦略的資源の入手を制限しようとしている。
トランプ大統領は昨年、欧州、アジア、大洋州の各国首脳と会談し、レアアースやその他の天然資源の確保を模索してきた。米国は昨年5月にウクライナと、11月には日本、マレーシア、タイ、オーストラリアとレアアースに関する協定を結んだ。同大統領はまた、中央アジアがウランやレアアースなどの天然資源に富むことを踏まえ、カザフスタンとウズベキスタンの大統領を今年12月に米マイアミで開催される20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に招待する意向を示した。
中国に対する立場を強化しようとする米国にとって、レアアースの確保は極めて重要だ。米地質調査所(USGS)によると、レアアースは航空宇宙部品や石油精製触媒、レーザー、原子炉といった現代技術や軍事機器にとって不可欠な材料だ。
トランプ大統領は、中国がレアアースで圧倒的な優位性を保っていることも理解している。米誌ナショナルインタレストによると、中国は世界のレアアースの3分の2を保有しており、エネルギー安全保障の強化や技術力の向上、経済の活性化に役立てている。
世界のレアアースをほぼ独占する中国に対抗するため、トランプ大統領が重視してきたもう1つの地域がカフカス地方だ。同大統領は昨年8月、長年敵対関係にあったアルメニアのニコル・パシニャン首相と隣国のアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領を米ホワイトハウスに招き、両国間の和平協定に仮調印するとともに、最終批准に向けた努力を継続する共同宣言に署名した。アルメニアとアゼルバイジャンは1990年代以降、国際的にアゼルバイジャン領と認められている山岳地帯ナゴルノカラバフを巡って争い、4万人を超える犠牲者を出した。アゼルバイジャンが同地域を奪還した2023年秋、70万人以上のアゼルバイジャン系住民がアルメニアを去り、約10万人のアルメニア系住民がナゴルノカラバフから避難した。
欧州安全保障協力機構(OSCE)が両国の紛争解決を目的に1992年に設立したミンスク・グループは昨年解散し、ロシアとトルコも2020年に停戦を仲介しようと試みたが、取り組みは維持されなかった。昨年8月に米国で開かれた3者会談では、トランプ大統領は米国、アルメニア、アゼルバイジャンの貿易関係の強化を巡って協議した。両国の和平を仲介したことで、米国はアルメニア南部を通るザンゲズル回廊の開発権を得た。同回廊はアゼルバイジャン本土と同国の飛び地ナヒチェバンを結ぶもので、アルメニアとアゼルバイジャンから西側諸国へ物資を輸送することが可能になる。米国は同回廊上の鉄道、石油パイプライン、光ファイバー回線の建設で、99年間の独占権を得た。これに伴い、ザンゲズル回廊は「国際平和と繁栄に向けたトランプ回廊」と改名された。



