「CFOがいるから数字のことは心配しなくていい」。これは今日、経営陣の間で最もよく聞かれる、そして最も危険な発言の1つだ。表面的には責任感があり、賢明にさえ聞こえる。しかし、その裏には全く別のものが潜んでいることが多い。それは、財務リーダーシップの静かな放棄だ。
財務を理解せずに財務権限を委譲することは、リーダーシップではない。それは財務からの逃避だ。
CFO、経理責任者、財務チームを雇うことが、自動的にリーダーを財務的に強くするわけではない。実際、財務の専門知識の存在が、財務オーナーシップの欠如を覆い隠すこともある。そして不確実な経済状況下では、そのギャップは急速にコストとなって現れる。
財務委譲の神話
多くの経営幹部は、CFOを雇えば財務責任は果たされたと考える。戦略は前進でき、成長は実現できると信じられている。数字は他の誰かが管理してくれる。しかし、この前提はリーダーシップの役割を誤解している。実行は委譲できるが、説明責任は委譲できない。
財務リーダーシップとは、スプレッドシートを作成したり、勘定を照合したりすることではない。それは、決定の財務的影響が報告書に現れる前に理解することだ。事業の財務ストーリーから距離を置くリーダーは、自由を得るのではなく、レバレッジを失う。
CFOが実際に担うべき役割
優れたCFOは、洞察、構造、戦略的なプレッシャーテストを提供する。彼らはトレードオフを明らかにし、シナリオをモデル化し、複雑さを明確さに変換する。
彼らが担うべきでないのは、CEOや創業者に代わって経営判断を下すことだ。CFOの役割は助言的であり、リーダーの役割は意思決定的である。
経営幹部が財務理解を完全に委ねると、前提に異議を唱えたり、リスクを早期に発見したり、断固として行動したりする能力を失うことが多い。CFOは現実を形作るパートナーではなく、現実の通訳者になってしまう。
財務リーダーシップを発揮しないことの隠れたコスト
財務に精通していないリーダーは、反応的に行動する傾向がある。理解から行動するのではなく、説明を待つため、意思決定が遅くなる。財務ダッシュボードは確認されるが、精査されない。報告書はうなずかれるが、吸収されない。
真のコストは3つの場面で現れる。
- リーダーが自身の財務判断を信頼できないため、意思決定が遅れる。
- 前提が検証されないまま放置され、リスクエクスポージャーが増大する。
- 取締役会、投資家、上級チームに対する信頼性が損なわれる。
リーダーが、キャッシュがどこから来て、どこへ行き、何がそれを混乱させる可能性があるかを明確に説明できないなら、誰を雇ったかに関係なく、財務的にリードしていない。
財務管理と財務リーダーシップ
この2つの区別は重要だ。財務管理は正確性、統制、報告に焦点を当て、財務リーダーシップは解釈、優先順位付け、選択に焦点を当てる。管理は「何が起きたか?」と問い、リーダーシップは「これは何を意味し、次に何をすべきか?」と問う。
優れたリーダーは、アウトプットだけでなく、事業の主要な推進要因を理解している。彼らは最も重要なレバーを知っており、リスクを平易な言葉で説明できる。優れたリーダーは思考をアウトソースしない。
財務的に強いリーダーが異なる行動
CFOがいても財務的にリードするリーダーは、いくつかの習慣を共有している。
- より良い質問をするために、十分な財務知識を維持する
- 数字を障害ではなく、意思決定への入力として扱う
- トレードオフを委ねるのではなく、オーナーシップを持つ
- 財務の専門家になることを目指さない。財務的に説明責任を持ち続けることを目指す。
リーダーの財務的自信は委譲からではなく、財務情報と自身の決定が事業に与える影響を理解することから生まれる。
CFOにならずに財務的にリードする方法
財務リーダーシップは、すべての項目を習得することを要求しない。財務リーダーシップは、数字の背後にあるストーリーを理解することを要求する。つまり、詳細ではなく推進要因に焦点を当て、財務を受動的にではなく定期的に確認する必要がある。「この報告書は何を言っているか?」ではなく、「これはどんな決定を迫っているか?」と問う姿勢への転換が求められる。
CFOはリーダーの思考を研ぎ澄ますべきであり、それを置き換えるべきではない。
結論
CFOを持つことは賢明な選択だが、財務的にリードすることはリーダーシップの必須要件だ。変動の激しい市場では、最も苦戦するリーダーは財務チームを持たない者ではない。最も苦戦するのは、財務決定の影響を理解せずに財務責任を引き渡した者だ。財務リーダーシップとは、すべてを知ることではなく、何も知らないことを拒否することだと認識することが重要だ。



