言うまでもなく、米政府は逆の方向に突き進んでいる。米国の政府債務残高は39兆ドル(約6100兆円)に迫りつつある。これは日本の国内総生産(GDP)の9.7倍ほどの規模だ。さらにトランプは、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を1%以下に引き下げるべきだとかなり声高に主張しており、日本並みの低金利を実現しようと、前例のないやり方でFRBのジェローム・パウエル議長を攻撃している。
その間も、米国の債務負担はどんどん深刻化している。債務の純利払い費は2024年度の最初の7カ月間に5140億ドル(約80兆円)に達し、国防費(4980億ドル)やメディケア(高齢者向け公的医療保険)費(4650億ドル)を上回った(編集注:純利払い費は2024年度通年では8810億ドル、2025年度は1兆2200億ドルに膨らんでいる)。米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが2025年、米国の最後の最上位格付けを引き下げたのも、もっともだと思えるような転換点だった。
トランプの関税やめちゃくちゃな外交政策のために、米国債の主要な保有者はその利回りの先行きに不安を抱いている。日本と中国は米国債を合計で1兆8000億ドル(約280兆円)ほど保有している。米政府が長年、歳入をはるかに超える規模の歳出を続けてこられた最大の理由は、アジア諸国が米国債を大量に購入・保有してくれていたからだ。
これらの国々が、いまは米国債へのエクスポージャーをさらに高める時期だと考えているとは、とても想像できない。
グリフィンはこう予想している。「米国には莫大な富があるので、しばらくはこの水準の財政赤字を続けられます。しかし、方向を変えるのを先送りするほど、転換した際の影響は苛烈なものになるでしょう」
ビリオネアで著名投資家のレイ・ダリオは、国際舞台でのトランプの攻撃的な姿勢は世界中の投資家にドル資産の安全性や魅力の再考を促しかねないと危惧している。
「貿易赤字や貿易戦争の裏面には資本と資本戦争があります」とダリオは米CNBCに語っている。「こうした紛争を考えるとき、資本戦争の可能性を無視することはできません。つまり、米国債などは以前と同じようには買われなくなるかもしれないのです」


