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2026.01.26 10:30

エヌビディアCEOが語った「5層のAIケーキ」と人類史上最大のインフラ構築 ダボス会議2026

ダボス会議のジェンスン・フアン(Harun Ozalp/Anadolu via Getty Images)

ダボス会議のジェンスン・フアン(Harun Ozalp/Anadolu via Getty Images)

世界経済フォーラムの年次総会、ダボス会議。2026年初日最大の見どころがユヴァル・ノア・ハラリの講演だったとすれば、2日目の最大の見どころはこの対談だった。エヌビディアCEOのジェンスン・フアンが示したのは、いま求められているもの──実際に何が起きているのかを理解するための明確な枠組み──そのものだった。ブラックロックCEOのローレンス(ラリー)・フィンクとの会話の中でフアンは、私たちが経験しているAI革命が、多くの人が人工知能と結び付けるチャットボットや画像生成よりも、はるかに深いところで進んでいる理由を説明した。

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おそらく予想どおり、フアンは対談全体を「インフラ」という観点で組み立てた。そこはエヌビディアが事業の価値の流れ(バリューチェーン)で位置する場所でもある。だが彼が示した規模は説得力を伴っていた。すでに数千億ドル(数十兆円)が投じられ、さらに数兆ドル(数百兆円)が必要であり、TSMCが新たに20の半導体工場を建てるという話から、2世代前のハードウェアのGPUレンタル価格が急騰していることまで、物理的な「証拠」が至る所にある。

すべてを変える「5層のケーキ」

フアンはAIインフラの階層構造(スタック)を、5つの層に分けて説明した。最下層はエネルギーである。その上に半導体(チップ)と計算インフラがあり、ここでエヌビディアが中核的な役割を担う。次にクラウドインフラが続き、その次がAIモデル(多くの人がAIはここにあると考える領域)で、最後に最上層としてアプリケーション層が乗る。

経済的価値が生まれるのは最上層だと、フアンは強調した。「このアプリケーション層は金融サービスかもしれませんし、医療かもしれませんし、製造業かもしれません」。だが、その最上層は下の層がなければ成り立たない。そして基盤となる層を整えるには巨額の資本投資が必要だ。フアンによれば、すでに数千億ドル(数十兆円)が投じられており、さらに数兆ドル(数百兆円)が必要になるという。

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フアンは、TSMCが新たに20の半導体工場を発表したばかりだと述べた。Foxconn(フォックスコン)、Wistron(ウィストロン)、Quanta(クアンタ)は新たに30のコンピュータ工場を建設している。Micron(マイクロン)は米国だけで2000億ドル(約31兆1400億円)の投資を約束した。

これは、経済を作り替え、まったく新しい産業の集積を生み出し、労働市場を変えてしまう規模のインフラ投資である。フィンクが「私たちはAIバブルの中にいるのでしょうか」と問うと、フアンの答えは示唆的だった。いまエヌビディアのGPUを借りようとしてみればよい、というのだ。「信じられないほど難しいですし、GPUレンタルのスポット価格(短期の需給で決まる価格)は上がっています。最新世代だけではなく、2世代前のGPUもです」。古いハードウェアの価格が上がるのは、投機的な過熱というより供給制約を示唆する。

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翻訳=酒匂寛

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