生成AIがビジネスの現場に浸透し、業務効率化や意思決定の支援に欠かせない存在となりつつある。そうした中、新卒採用市場においても、AIが生成した応募書類が増加し、人事担当者が選考に苦慮する場面も見られるようになっている。こうした課題に対し、株式会社リアルバーチャルが実施した「AI vs 人間(人事のプロ)」の実証実験は、AIと人間の違いが見て取れるおもしろい結果を示している。
それによると、まず「書類選考」では、実在する企業への志望度が高い学生が作成した「本物」のエントリーシート(ES)と、AIを駆使して作成された「偽物」の候補者を見抜けるか、という形式で行われた。結果は、正解率70%を記録した人事のプロが、60%に留まったAIを下した。
特筆すべきは、AIが「論理性の欠如」を理由に不合格としたESの中から、人間が将来性や熱意といった「人間味」を感じ取り、合格を出した点だ。一方で、AIは応募者の記述を冷静に分析するが、人間の担当者は自社の社風や風土に合致するキーワードが含まれているだけで、無意識に高評価を与えてしまう傾向が確認された。
続く「面談選考」では、人間側は対面でのインターンシップを通じた1日の行動観察を実施。一方のAI側は、オンラインでの「お仕事体験」の過程や報告内容を分析するという形式で行われた。結果は、AIが正解率80%という高い精度を誇り、60%に終わった人事のプロを負かした。
これは、面接という多面的な情報が交錯する場において、AIがいかに先入観を排除し、客観的なデータに基づいて候補者を評価できるかを示している。人間はどうしても第一印象や話し方の雰囲気、共通の話題といった「バイアス」に影響されやすい。対してAIは、対話の内容から一貫してスキルの適合性や論理的思考力を抽出することに長けている。この「客観性の担保」こそ、AIが採用プロセスに持ち込む最大の武器と言えるだろう。
本実証実験の結果から見えてくるのは、AIが人間に取って代わる未来ではなく、両者の「棲み分け」による高度な選考プロセスの構築だ。有識者の見解によれば、AIが切り捨ててしまうような「割り切れない魅力」や「未知のポテンシャル」を拾い上げるのは、依然として人間の役割である。しかし、人間特有の「思い込み」や「情」によるバイアスを補正する役割をAIが担うことで、より公平で精度の高い採用が可能になるとしている。
AIを単なる効率化ツールとしてではなく、人間の判断を客観視するための「鏡」として活用できるのか。それが、これからの人事戦略を左右する鍵となるかもしれない。
出典:リアルバーチャル「新卒採用『AI vs 人間(人事のプロ)』対決!」より



