北米

2026.01.26 14:30

トランプが「12人目の億万長者」起用、「米国製造業の復権」を掲げるFTC委員に利益相反の壁

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米国で高いシェアを誇る高級車用マットメーカー、WeatherTech(ウェザーテック)。全製品をイリノイ州にある自社工場で製造し、材料もすべて米国内で調達している非上場企業だ。創業者兼CEOデービッド・マクニール(66)は、そんな徹底した「米国製」へのこだわりを武器に、40億ドル(約6200億円。1ドル=155円換算)を超える富を築き上げた。

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トランプ大統領は、この有力な支持者を連邦取引委員会(FTC)の委員に指名した。トランプ政権で12人目となる「億万長者クラス」の起用となる。

FTCは、市場の公正な競争を監視し、消費者の権利を守るための強大な規制権限を持つ政府機関だ。その中でマクニールが狙いを定めるのは、オンライン販売における「原産国表示」の厳格化という。ただしこれは、WeatherTechのビジネスに有利に働く可能性が高い規制変更でもある。公職による「利益相反」を懸念する指摘を受けながら、マクニールは米国の通商ルールの再構築に乗り出そうとしている。

デービッド・マクニール、オンライン販売で原産国表示がないことに不満を表明し是正を主張

2025年12月、売上高8億ドル(約1240億円)のWeatherTechを率いるデービッド・マクニールは、Forbesとの電話インタビューで製品表示をめぐる問題について不満をぶちまけた。

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「米国内の店に並ぶすべての製品には、米連邦取引委員会(FTC)の規則によって原産国表示が義務付けられている。ところがEコマースでは、そのような規則が存在しない。どこで製造されたか分からないまま製品を買わされている消費者は、だまされているのと同じだ」と彼は語った。マクニールはまた、「この問題は、大統領令であれ議会の立法であれ、何らかの形で是正されるべきだ。将来策定されるFTCの指針によって対応することも考えられる」と付け加えた。

もっとも、彼の主張には誇張も含まれている。FTCや米税関国境警備局(CBP)によれば、原産国表示を義務づけるルールは複雑で、すべての製品に一律に適用されているわけではない。しかし、愛国心に訴えるマクニールの主張は、現在の一部米国社会では共感を呼びやすい。

トランプ大統領がマクニールをFTC委員に指名、約4億7000万円以上を寄付していた

このインタビューから数週間後、トランプ大統領は、空席となっていたFTC委員3枠の1つにマクニールを指名した。マクニールはマー・ア・ラゴ(Mar-a-Lago)の会員であり、トランプの選挙活動や関連政治団体、就任式に300万(約4億7000万円)ドル以上を寄付していた。この指名が承認されれば、マクニールは、トランプ政権に名を連ねる12人のビリオネアやその配偶者のうちの1人になる。

「全米の消費者のために、全力で取り組む覚悟はできている」と、マクニールはForbesに語る。彼はまた、承認された場合に、長年掲げてきた目標である「米国の製造業の強化」を進めていく考えを示している。原産国表示に関する新たなFTCの規則の策定は、その出発点になり得る。

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翻訳=上田裕資

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