経済・社会

2026.01.23 18:30

ダボス・リポート2026 (3)力を誇示する大統領と、資産を減らし続ける億万長者。ダボスが映した2つのリーダー像

対話が連帯を生み、成果をもたらし、さらなる連帯を引き寄せる

今回、セッションの壇上から感じ取ったのは、対話によって生まれる信頼関係と調和の大切さだ。

advertisement

「ルワンダはゲイツ財団にとって素晴らしいパートナーであり、ルワンダが今回の取り組みの最初の国となることをとても嬉しく思う」。ゲイツのその言葉は、テクノロジーとイノベーションを通じてルワンダの保健医療の向上に取り組むインガビレに向けられていた。

この4年間、ダボスで私は幾度となく彼女の姿を目にした。明確なミッションを掲げ、具体的なソリューションを提示し、数々のセッションで積極的に発信し、異なる立場の人々との対話から学び続ける──その姿は、政府関係者でありながらアントレプレナーのそれと重なる。

インガビレのリーダーシップのもと、ルワンダでは4年で医療従事者を4倍にする「4×4戦略」に取り組んでいる。「2年が経過した時点で、すでに3.8倍にまで増員できた」と彼女は言う。

advertisement

「私たちが目指しているのは、全国でプライマリーヘルスケアを担う6万人以上のコミュニティヘルスワーカー向けに意思決定支援ツールを作ることだ。国家の医療計画システムに情報を行き渡らせ、よりよいリソース配分を可能にしたい。AIは、これらの成果をもたらしてくれると確信している」(インガビレ)

ルワンダでは現在、OpenAIの元メンバーによって設立されたAnthropicとも協議を進めているという。

「すべての解決策が政府から生まれる必要はない。業界やスタートアップがアイデアを試す場所を求めているなら、政府や国がテストベッドになることで解決策を広げることができる。こうしたWin-Winのパートナーシップを見つけることが成功の要因だ。さらに、取り組みの進捗やインパクトを示すことで、さらに多くのパートナーシップや資金を動員できるようになる」(インガビレ)

モデレーターからヘルスケアやテクノロジー分野におけるルワンダの先駆性を問われたサンズは「ポーラを少し照れさせてしまうかもしれませんが」と前置きしたうえで、「ルワンダは、『本当にできることは何か』を示す灯台のような存在だと思う」と言った。

3人のパネリストのやり取りからは、日頃から対話を重ねている様子が見られた。対話が連帯を生み、連帯が成果を生み、成果がさらなる連帯を引き寄せる。「対話の力」(A Spirit of Dialogue)を感じる瞬間だった。

ゲイツは45年にゲイツ財団を解散し、それまでに財団を通じてほぼすべての資産を寄付すると公言している。25年には、フォーブスが毎年発表する米国の富豪ランキング「フォーブス400」で34年ぶりにトップ10の座から陥落した。今後も意図的に、ゲイツは自らの資産を減らし続けることだろう。

「Make America Great Again」を標榜する一国のリーダーと、私財を慈善事業に捧げる億万長者。地政学的リスクや対立の話題が支配的な今年のダボスで、世界は対照的な2人のリーダーを目撃した。

文=瀬戸久美子 写真=世界経済フォーラム

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事