経済・社会

2026.01.23 18:30

ダボス・リポート2026 (3)力を誇示する大統領と、資産を減らし続ける億万長者。ダボスが映した2つのリーダー像

冒頭、ゲイツはゲイツ財団とOpenAIの新たなパートナーシップ「Horizon 1000」を発表した。ルワンダを皮切りに、アフリカ諸国のリーダーたちが医療分野におけるAI活用の発展を推進できるよう支援するパイロットプロジェクトだ。ゲイツ財団とOpenAIは共同で5000万ドルの資金と技術支援を投じ、2028年までに1000のプライマリーヘルスケアクリニックとその周辺地域にAIを普及させることを目標に掲げる。

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医療におけるAIというと、複雑な疾患プロセスやタンパク質の構造をモデル化し、新たな治療法の開発を加速させることなどに注目が集まりがちだ。だが、ゲイツはAIが「提供側」、すなわち医療現場で使われることのほうがより重要だと指摘する。

「アフリカはアメリカに比べて医師の数がはるかに少ない。多くのアフリカ人は一生、医師に会うことはないだろう。だからこそ、一次医療が重要だ」(ゲイツ)。ゲイツ財団とOpenAIが目指すのは、単なる医療の効率化ではない。医療システムそのものの構築である。Horizon 1000を通じてアフリカの指導者や医療専門家にリソースと専門知識を提供し、イノベーションから実用化へと移行できるよう支援するという。

さらに、ゲイツは大胆な未来を口にした。「今後数年で、新興国のヘルスケアが先進国を追い越す可能性もある」というのだ。

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ここダボスでは、「AIが仕事を奪う」という声を頻繁に耳にする。先進国では、AIは既存のシステムや既得権益との闘いを強いられる。医療の現場においても、A Iの導入を推進すれば医師たちは変化を恐れ、不安にさいなまれる可能性がある。

だが、新興国では状況がまったく異なる。人間の仕事を代替するのではなく、医師がいない状況を補完するためにテクノロジーを活用するのだ。グローバルファンドのサンズは、「(医療関連の最先端の)技術が新興国でより早く普及する理由のひとつは、『自分の仕事が奪われる』『今までのやり方を変えたくない』と抵抗する人がいないからかもしれない」と指摘する。

この話を聞いて、世界経済フォーラムのビシェンが気候変動とグローバル・ヘルスについて話していたことを思い出した。

「低・中所得国は、限られたインフラ、資金不足、脆弱な医療システム、深刻な気候リスクといった厳しい制約下で介入策を設計することが多い。その結果、多くの解決策は低コストでスケーラブル、かつレジリエントだ。先進国は単なる支援者や教える側としてではなく、学び手やパートナーとしてグローバルサウスとの対話に臨むべきだ」

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文=瀬戸久美子 写真=世界経済フォーラム

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