イーロン・マスクは米国時間1月22日午前、スイスで開催中の世界経済フォーラムの年次総会、ダボス会議にサプライズ登壇し、火星で死ぬことへの希望を語り、人類の未来像について改めて持論を展開するとともに、米国が関心を示すグリーンランドやベネズエラをめぐる政治的緊張をジョーク交じりに語った。マスクはこれまでダボス会議を公然と批判してきただけに、今回の登壇は意外なものだった。
ブラックロックのラリー・フィンクCEOとの対談の中で、マスクは、「何度か『火星で死にたいのか』と聞かれたことがある」と語り、「それで私は『はい、ただし衝突の瞬間は除いて』と言うんです」と付け加え、会場の笑いを誘った。
マスクは冒頭、こう冗談を飛ばした。「平和サミットができると聞いて、『それはP-I-E-Cことか?』と思ったんです(中略)グリーンランドを少し、ベネズエラを少し。私たちが欲しいのは、ひとかけら(ピース)だけです」
フィンクは話題をマスクの宇宙事業やAI関連の取り組みに向けた。これに対しマスクは、高度な人型ロボットを開発するという自身のビジョンを改めて強調した。彼は、それを「地球上の誰もが」持つようになると述べた。
最後に言葉を求められると、マスクは「皆さんには、未来に対して楽観的で、ワクワクしていてほしいと思います」と語った。
マスクがダボスの登壇者名簿に加わったのは、ドナルド・トランプ大統領の演説の翌日に決まった直前のサプライズだった。
対談の終盤でフィンクは、「イーロン・マスクを巡っては多くの神話があります」と述べ、公の場で彼を擁護し、「彼は素晴らしい友人ですし、彼が成し遂げてきたことには完全に刺激を受けています」と語った。その少し前には、マスクを「人間味のある存在として伝えたい」と観衆に語り、会場から大きな笑いが起きていた。
主催者によれば、ダボス会議には、世界のトップCEO850人と、約400人の主要な政治指導者が参加しており、その中には約65人の国家元首とG7の指導者6人が含まれている。マスクは、ここ数日で登壇したトランプ大統領、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOら、著名な講演者の長い列に名を連ねた。
マスクは長年にわたり、世界経済フォーラムを批判してきた。2023年には、開会式の動画がXに投稿されると、「WEF/ダボスって、そもそも何なんだ?」と反応し、「地球のボスにでもなろうとしているのか?」と付け加えた。さらに、過激な見解の温床として知られる掲示板4chanになぞらえ、「『4Chanかダボスか、誰の発言でしょう?』というゲーム番組があるべきだ」と冗談を飛ばした。
その前年には、会議への招待を断ったことを公表し、同会議は「つまらない」と表現していた。
このようにマスクが反感をもつ背景の1つには、過剰人口をめぐる双方の見解の違いがあるかもしれない。世界経済フォーラムの公式Xアカウントは過剰人口を「世界的な課題」と呼んでいるが、14人の子どもを持ち、世界人口の増加を支持するマスクはこれに対し、「人類にとっての実存的問題は、過剰人口ではなく人口崩壊だ!」と反論していた。2026年に入ってから、マスクは自身のXアカウントでダボス会議についてまだ投稿していない。



