ANAで初めて65歳定年まで飛び続け、航空業界の「レジェンド」といわれる客室乗務員(CA=キャビンアテンダント)、大宅邦子さん。45年間、国際線ファーストクラスで一流のおもてなしを提供してきた彼女は、機内という制約の中で、ある「わざ」を磨き続けた。著書『新版 選んだ道が一番いい道』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。
いつでも、限られた中での「最高」を探す
秋田発羽田行きの国内線でのこと。国内線プレミアムクラスは価格が高いだけにシートは広くゆったりとして、飲み物とお食事のサービスがついています。
それなのにあるとき、「何もいらない」というお客様がいらっしゃいました。あとからリクエストがありましたが、「お茶を1杯」というもの。
そこで私が淹れましたが、お出しするのは担当のCAに任せ、キャビンを回りました。チーフパーサーとして全体を見ておくためです。
しばらくしてギャレーに戻ると、担当CAが「お客様がお呼びです」と言います。このお茶を淹れた人と話したい、とのリクエストでした。
お席にうかがってみると、40代くらいの男性です。
「僕は出張でいつも乗っていて、この食事メニューも何度も食べているから、パスしたんですけどね。こんなにおいしい日本茶を飛行機の中でもらったのは初めてですよ。この1杯だけで、今日、プレミアムに乗った価値がありました」
日本茶は日本を代表する飲み物。気軽なペットボトルから高級品までさまざまですが、おいしいものとそうでないものの差は大きいものです。たかがお茶、されどお茶。
機内でもおいしいお茶を淹れたいと、私は工夫を重ねました。その甲斐あって、「これはおいしい」と、9杯もおかわりしてくださったお客様もいたほどです。
とっておきのお茶は、ティーバッグで淹れます。簡単な「わざ」なのでご紹介しましょう。



