ネガティブな話ほど感情は後回しにする
「話す時は事実から」ということは、裏を返せば「感情」は後に話すということ。
ビジネスシーンで事実から話したほうがいいのは、そのほうが、仕事がスムーズに進むという理由なのですが、もう一つ意味があります。
それは、いきなりネガティブな感情をぶつけられると、相手がガードを固めやすく、聞く態勢を整えられないからです。
「ネガティブな話こそ事実から」
これも、意外に意識されていない話し方のコツです。
仕事でミスをしてしまった、上司にクレームを言いたい、友人に嫌がられそうなお願いをしなければならないなどなど、「ネガティブな話」は、たいてい言いにくい内容のことが多いですよね。
言いにくいがゆえに、弁解のような気持ちを先に伝えてしまいがちですが、そういう時こそ、感情を混ぜずに事実から話すことが大切なのです。
例えば、怒っている時。〝怒る〟というのは感情です。
感情を全面に出して怒鳴ったりすると、相手も感情的になりやすく、感情的な言葉が返ってきてしまい、あなたが本当に伝えたい内容は伝わらなくなります。
例えば、部下が失敗をした時、子どもが何かを壊した時、怒りに任せて、「何やってるの‼ ふざけないで!」と怒鳴ったとします。
ですが言われた側は、「怒鳴られた、この人すごく怒ってる」ということにまず驚いたり萎縮したりして、そのこと自体に気が向いてしまいます。
なぜなら、表情や体の動き、声のトーンなどの、言葉以外の情報が、すでに「怒りをあらわにしている」からです。その後に何か言われていても、その内容にまですぐには意識が向かないでしょう。
感じが悪い人というよりも、下手をするとキレやすい人、こちらの話を聞いてくれない人など、さらに手に負えない人というような印象になるかもしれません。
怒りに任せて怒鳴るのではなく、「ミスをしてしまったのね。何が原因だったの?」「これを壊しちゃったんだね。どうしてこうなったの?」など、冷静に事実から話すほうが相手も話を聞きやすく、また説明もしやすく、解決に近づきやすくなるのです。
誰かにネガティブな話を伝えたい時も同じです。
「あんなことを言うなんてどういうつもりなんですか?」
「○○さんのやり方はひどいと思います!」
といった、自分の感情がメインの言葉をぶつければ、相手もカッとなりやすく、深く考えずに感情的な言葉が返ってきてしまいます。
「○○さんからハラスメントを受けました。具体的にこういうことを言われました」
「○月○日にこういうことがあり、クライアントの担当者からクレームが入りました」
など、率直に、端的に事実だけをまず伝える。
そのほうが本当に伝えたい内容が短時間で伝わりやすく、また話も進みやすいのです。
ただ、ポジティブな話を伝える時は例外もあります。
「聞いて聞いて、今日すごく嬉しいことがあったの」
「あの時楽しかったよね~」
「今日はすごくよくできたね」
など、嬉しい、楽しい話は、感情が先行しても、相手を身構えさせることはないと思います。
しかし、やはりそれが相手に伝える必要のある業務上の報告や連絡ならば、先に事実を話したほうが伝わりやすくなります。
「○○の件、契約成立しました! 本当に嬉しいです」
「私すごく嬉しいんです! この前の件……」
何を伝えたいのか、後者は聞くまで公私の別もわかりません。
ちなみに、先ほどお話しした「感情ラベリング」はネガティブワードだけでなく、ポジティブな話でも効果的です。対話の中で「嬉しい」「誇らしい」など具体的に言葉にすると幸福感が持続し、体験の記憶が強化されることがわかっています。
だからこそ、相手の口から発せられた、感情のフレーズは、繰り返したりして、受け止めることが大切なのです。
伝える時には、事実を先行することを意識するだけで、ぐんと相手に理解されやすくなります。
注:記事中リンクから商品の購入などを行なうと、編集部に収益が入ることがあります。また事業者は、商品の選定や記事内容には一切関与していません。



