1. 賢い人は会話を頭の中で何度も再生し、将来のシナリオを思い描く
会話を頭の中で繰り返し再生したり、将来起こり得るさまざまな会話を常に思い描いたりすることは、不安や反すう思考の症状だと考えられることが多い。確かに、そのような場合もある。しかし同時に、会話を頭の中で再生することは、高度な「メンタルシミュレーション」機能の表れであることも示されている。
研究によれば、「流動性知能」が高い人は、複数の「もしも」のシナリオを同時に処理することができ、それによって将来を見通し、潜在的な危険を見抜き、行動を事前に計画することが可能になる。
この思考様式は多くのワーキングメモリを必要とする。脳は単に同じことをぐるぐる考えているのではなく、思いつくあらゆる可能性をひとつひとつ検証しているからである。このため、たとえ1人でいるときであっても、頻繁に物思いに沈んでいるように見える時もあるだろう。彼らの脳内では、社会的なやり取りや、取り得るすべての選択肢がもたらす影響が処理されているのだ。
ただし、このプロセスを不適応的な反すう思考と区別することは重要である。反すう思考が反復的で感情に絡みつくものであるのに対し、メンタルシミュレーションは柔軟で探索的である。視点を切り替え、前提を更新し、しばしば洞察へとつながる。外から見ると、どちらも沈黙や注意散漫、あるいは考えすぎのように見えるため、両者は混同されやすい。
もっとも、この思考様式には代償もある。この種の過剰な処理は、特に即時の反応が求められる状況では、優柔不断な印象を与えることがある。しかし認知の観点から見ると、これは立ち止まっているのではなく、準備をしている心の働きを示しているのである。


