なぜ地方から女性が消えていくのか。当事者の本音を集める活動がNHK「クローズアップ現代」で紹介されるや大反響を呼び、注目を集めた山本蓮。日本の人口減少問題に一石を投じ、「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2025」ではチェンジメーカー賞を受賞した。彼女が発信する「地方女性のリアル」とは。
脳は、一度正しいと認識した物事に対して疑問を感じづらいという。例えば、ある年齢に達した女性に「結婚はまだ?」「子どもは?」と問う人に悪気はない。その人は、結婚や出産が“女性の幸せ”だと認識しているからだ。しかしこの思い込みが、日本の人口減少を引き起こしている。
人口戦略会議によれば、2050年までに消滅する可能性がある自治体は744。地方からの女性流出が止まらない現実は、この算出データからも明らかだ。国も自治体も、長年にわたり「結婚・妊娠・出産・子育て」支援を行っているのに、効果がまったくない。なぜ、なのだろうか?
「そこに当事者の意見はどこにも入っていませんよね」と、山梨県韮崎市から地方女性の声を発信する山本蓮は指摘する。「地方は都会に比べて、生き方の選択肢が本当に少ない」とも言う。あるのは、結婚・子育てが女性の役割であり、幸せという、かつてのステレオタイプな価値観だけ。
「地元が好き、できれば残りたいという女性は多い。でも地方にいたら、出産マシンのように子どもの数ばかり期待される。仕事をしたければ、田舎を出ていくしかないんです」
活動のきっかけは、山梨県内で始めた就職活動だった。
「OG訪問をした先輩から聞かされたのは、営業職で採用されても実際は男性が営業、女性は事務と役割が決まっていて、やりたい仕事ができない、という嘆きでした」
悔しそうな先輩の姿、男女賃金格差や女子採用数の少なさ。地方在住の若い女性が直面する現実をどうにかしたいという思いが、「地方女子プロジェクト」につながった。
東京は令和、地方は江戸時代
県内のIT企業に勤務する傍ら、身近な人へのヒアリングを始めた。収録した「地方あるある」を動画配信すると、想像以上の反響があり、気づけばコミュニティができていた。
「『こういう周囲の圧力が嫌で私も地元を離れた』という共感の声がすごく多い。『東京が令和なら地方は江戸時代』と言う人もいました」
地方女性の生きづらさが可視化されると、少子化対策一辺倒だった自治体からも相談されるようになった。それに対し「まずは当事者の意見を入れること。そして、地方でも女性がキャリアを築く環境を整えてほしいと伝えています。そのうえでの結婚、子育てですからね」と山本。



