昨年IT企業を退職し、現在は手弁当で活動しているが、今後は支援者と連携して地域ごとに話を聞く体制をつくろうと考えている。地域の課題を明確にできれば、人口減少対策でも自治体に協力できるからだ。しかし、それだけでは世の中は変わらない。問題は、染みついてしまった“意識”だ。
「逃げる場所や地元を捨てる選択肢がある人はいいですけど、そうでない場合は、地域の価値観に耐え、役割を演じるしかありません」
だからこそ、根強い性別役割分担意識を変えたい、と力を込める。
山本の活動の原点をたどっていくと、亡き叔父の存在に行き着く。
「叔父は若いころから周囲に結婚しろと言われ続け、結婚後は、男なんだからもっと稼げ、しっかりしろと言われていました。追い詰められた叔父は、私が高校生の時に自死。それが今も心に引っかかっています」
この経験から、今は地方女性のための活動を謳っているが、最終的には「男女の役割分担意識をなくし、叔父のような人でも生きやすい社会をつくりたい」と思いを語る。
しかし、固定化した価値観を変える難しさを日々感じるという。長い間、当たり前に“幸せ”とされてきた価値観を結果的に否定してしまうのだから、そこに反発してしまう気持ちもよくわかると山本は言う。
「実は大学時代、学内のミスコン運営団体に所属していました。当時は活動に熱中していたので、ルッキズムの助長だと事務局に抗議が来たとき、いい気持ちはしませんでした。でも一歩引いてみると、嫌だと思う人の気持ちが見えてきたんです」
以来、自分が正しいと思うことであっても、一歩引いて、逆の立場で考えてみるようになった。
「人の価値観は簡単には変えられないけれど、別の意見を『そういうふうに考える人もいるよね』と認めることはできるはずです。多様な意見を受け入れられる人が増えれば、いつかは社会全体の意識も変わってくると信じています」
WOMEN AWARD 2025 チェンジメーカー賞
自ら行動して多様な人の活躍を推進するムーブメントを起こした女性に贈られる賞
やまもと・れん◎1999年、山梨県生まれ。都留文科大学卒業。2024年に「地方女子プロジェクト」を立ち上げ、2025年3月には石破茂首相(当時)とも車座で意見交換。地域働き方・職場改革等推進会議有識者、韮崎市男女共同参画推進委員会委員。


