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2026.01.27 08:15

睡眠離婚は逆効果か 東大の研究で判明した夫婦のヒエラルキーと質の関係

プレスリリースより

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夫婦が別々の寝室で寝る、いわゆる「睡眠離婚」は、双方の睡眠の質を高めるのか。それとも仲良くいっしょに寝たほうがいいのか。東京大学がマウスを使って行った実験では、なんとも言えない結果が示された。

東京大学大学院理学系研究科の林悠教授と林直子特任研究員らによる研究グループは、夫婦やパートナーの「いっしょに寝る安心感」と「単独で寝る快適さ」のどちらが睡眠の質を向上させるかを、人間と同じく社会性が高いマウスたちの協力で検証した。

研究グループは、人間の夫婦が同じ寝室でいっしょに寝る状態を再現する装置を開発した。ひとつの部屋を透明板で仕切り、物理的な接触で睡眠を妨げられることはないが、視覚や嗅覚による社会的なつながりは保たれる「隣人飼育」という方法だ。

ペアになるマウスは、社会的な優位性が高いものと低いものを組み合わせた。社会的優位性は、チューブテストという方法で判断する。行き交うことができない細いパイプの両端からマウスを1匹ずつ入れて、中でかちあったとき、どちらが後退して道を譲るかを見る。道を譲ったほうが劣位、真っ直ぐ通れたほうが優位のマウスだ。それを繰り返して、いちばん優位のマウスといちばん劣位のマウスを選んだ。

これらのマウスを隣人飼育で眠らせると、優位なマウスは睡眠の質が向上し、劣位なマウスは低下した。優位なマウスは邪魔者がなくゆうゆうと眠れたのに対して、劣位なマウスは社会的孤独を感じて不安になってしまうのだそうだ。

こう聞くと、「いっしょに寝るのはイヤだ」という主張が通る家庭内ヒエラルキーが高いほうが良質な睡眠を得て、寝室を追い出されたほうは睡眠の質が落ちるという悲しい情景が想像される。

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文 = 金井哲夫

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