サイエンス

2026.01.26 18:00

ヒトはなぜ無毛になったのか、体毛が示す「進化の賭け」

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体毛を失ったことのメリットとデメリット

ただし、体毛を失ったことには、深刻な代償があることも触れておくべきだろう。具体的には、毛皮がないことで、人類は以下に挙げる3つの主要な脅威に対して非常に脆弱な状態に陥った。

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・寒冷ストレス
・紫外線放射
・皮膚への損傷

これらのリスクは、我々人間の多くの行動適応を進化させる原動力となったと考えられる。衣服の作成や住まいの建設、火の活用などがその例だ。

言い換えれば、体毛を失ったことにより、文化を進化させる道筋が固まったということだ。毛皮を失うやいなや、人類の生存戦略は、道具や、他の人との協力、技術に依存する傾向が高まるようになった。生物学的特徴と文化の間に生まれた、このフィードバックループは、人類の進化を決定づける大きな特徴だ。

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毛皮を失い、発汗機能が向上したことは、現在ではささやかな人体の機能のように思えるかもしれないが、進化的に見ると、人類の生態を根本から塗り替える分岐点だった。これによって、人類の祖先が手にしたメリットには、以下のようなものがある。

・1日の最も暑い時間帯にも採食活動が可能になる
・競合する動物よりも遠くまで移動できるようになる
・新たな食料供給源を活用できる
・協力やイノベーション、文化伝達の価値を学習し、日光や熱にさらされることのデメリットを抑える

進化という見地から見れば、この変化は非常にリスクの高い賭けだった。しかし最終的に、人類がこの賭けに勝ったことは明らかだ。人類は、熱に支配された世界で、持久力のスペシャリストとなった。

体毛がないことは無力に感じられ、汗をかくことも不格好に思えるかもしれないが、どちらも弱さを示すサインではない。むしろそれは、我々人類が防寒や引きこもることよりも、移動性と持久力を選んだ系統であることの動かぬ証拠なのだ。

forbes.com 原文

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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