なぜトランプはグリーンランドを欲するのか?
以上を踏まえると、なぜトランプがそれほどまでにグリーンランドを──ノーベル平和賞を授与されなかったことへの腹いせ以外で──欲するのか、不思議に思われるかもしれない。
トランプ自身は米国の安全保障のためだと主張するが、前述したように、米軍はすでに1951年に米国とデンマークが締結した防衛協定に基づき、グリーンランドへの広範なアクセス権を有している。
さらにグリーンランドは米国が加盟するNATOの保護下にある。ロシアや中国が攻撃を試みれば、北大西洋条約第5条が発動され、NATO軍が出動する。
最近の報道によれば、トランプを熱烈に支持する富豪の中には、グリーンランドを軍事拠点や鉱業資源の宝庫としてではなく「まっさらの状態」とみなす視点がある。ロイター通信によると、ピーター・ティールやマーク・アンドリーセンら有力なテック投資家は、グリーンランドに規制のない経済特区、いわゆる「フリーダムシティ(自由都市)」をつくる構想を提案している。規制緩和された準自治的な次世代テクノロジーのハブ(開発・成長支援拠点)を構築しようというのだ。
もう一つの解釈は、トランプが打ち出した新モンロー主義だ。ホワイトハウスはこれを「モンロー主義のトランプ補論(Trump Corollar)」や、「ドンロー主義」(トランプの名前とモンロー主義を掛けた造語)と呼んでいる。その趣旨は、トランプが昨年12月2日に「国家安全保障戦略」の公表に先立って発表した声明で宣言したように、西半球において「外国勢力やグローバル主義を掲げる機関ではなく、米国民こそが常に自らの運命をコントロールする」ことである。
デンマークが東半球に位置している事実を、ここで特筆しておくべきだろう。


