リーダーシップ

2026.01.26 15:00

AIが生み出す「空白の時間」を恐れるな──人間特有の価値を創造するリーダーシップの条件

Shutterstock.com

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「成功するリーダーシップ」が変化しつつある。AIは、うまく機能すれば、業務の一部を担ってくれて、タスクはより速く進む。意思決定にかかる時間も短くなる──そうなると、なじみのない何かが現れる。

空白だ。

ほとんどのリーダーは、空白の扱い方を知らない。

本能的な反応は、その隙間を埋めることだ。会議を増やす。報告を増やす。連携の儀式を増やす。空いた時間を正当化するため「仕事のための仕事」を増やす。リーダーシップ研修では長年、活動量で価値を測るよう教えられてきた。そのため、空白が現れると、誰かに気づかれる前に、急いで埋めようとするのだ。

その本能は、今や危険だ。

AIが「空白」を生み出すなかで、リーダーシップは次の方向性を決めなければならない

AI時代におけるリーダーシップは、もはや生産性だけで測られるものではない。それは、「空白」を生み出して、人間の判断や意思決定、そして革新を生かす能力によって測られる。

なぜならAIの導入は、うまくいけば空白を生み出す。リーダーシップとはもはや、人々が時間をどう使うかを指示することではない。機械が得意な仕事を引き受けた後は、人々が時間を確保できるよう支援し、その時間を守ることにある。

ここで、リーダーシップは根本的に変わる。

「AIとの協働」への移行期において、人間に残された最も価値ある仕事は、スケジュールの中に組み込むことができない。この新たな文脈で、人間特有の価値がどのような形をとるのかを理解するには時間がかかる。それは、これまで当然とされてきた前提に挑むような思考、即座の成果を伴わない学び、結果が保証されない実験、誰も答えを知らない疑問を投げかけることを必要とする。こうしたことは、ぎっしり詰まったスケジュールや、絶え間ない焦りの下では決して起こらない。

それは、空白を必要とする。認知的な空白、感情的な空白、そして許容の空白だ。

空白は無駄ではない。停止時間ではない。そして、野心の欠如でもない。

筆者が司会を務めるポッドキャスト番組「The Future of Less Work」の対談で、リーダーシップコーチのサビーナ・ナワズは、深く根付いたリーダーシップの本能に異議を唱えた(ナワズは、自著『You’re the Boss: Become the Manager You Want to Be (and Others Need) [あなたがボスだ:あなたがなりたいマネージャー(そして他の人が必要とするようなマネージャー)になる方法]』において、良い意図を持つリーダーが、なぜプレッシャーによって挫折するのかについて考察している)。

ナワズはこう語る。「私は人々に対して、忙しさの罠にはまる代わりに、何もしないことを勧めています」

そうした休止こそが、ほとんどのリーダーに欠けているものだ。

空白とは、すべての隙間を、活動や答え、指示ですぐに埋めようとしない、意図的な選択だ。結論を出す前に思考が浮かび上がる場所であり、即座の成果を求めずに学びが起きる場所であり、確実性なしに実験が可能な場所でもある。

ほとんどの組織において、空白が足りないのは、時間が足りないためではなく、沈黙が居心地悪く感じられるためだ。リーダーたちは動きを前進と、そして反応を価値と同一視するよう訓練されている。空白が生まれると、特にAIが業務遂行のうちより大きな部分を代行するなかでは、本能的に急いでその空白を埋めようとする。

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翻訳=米井香織/ガリレオ

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