リーダーシップ

2026.01.26 15:00

AIが生み出す「空白の時間」を恐れるな──人間特有の価値を創造するリーダーシップの条件

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ナワズは代わりに、リーダーが小さなことから始め、たとえ短時間でも、意図的に「離れる」ことで、空白の力をつくる習慣を身につけるよう勧めている。会議終了後の10秒間、「意図的に離れ、電源を切り、ただ静かに過ごす」時間だ。

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それは始まりにすぎない。ナワズはさらに、「空白の習慣」について説明している。「週に1度、仕事中に連続した2時間を確保し、完全に遮断するのです。何も読まない。誰とも話さない。もちろん、インターネットにも接続しない。そうすることで、真に前進すべき道筋をじっくり考える余地が生まれます」

これは、ほとんどのリーダーがプレッシャーに対処する方法とは正反対だ。環境が厳しくなればなるほど、リーダーは集中し、さらに多くのことをしようとする。やることリストを増やし、メールを増やし、会議を増やす。

その解毒剤は、加速ではなく抑制だ。判断力を働かせるため、ペースを落とすことだ。これは決して、やることを減らすという話ではない。「もはや重要ではないこと」をやらず、新たな何かが形づくられるようにする、という話だ。

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AIは、こうしたシフトを加速させているが、そのシフトを生み出したのはAIではない。仕事はすでに複雑化し、予測困難になり、相互依存性が高まっていた。テクノロジーは単に、「リーダーシップが、フル稼働を前提とする指揮統制システムとして機能し続けられる」という幻想を取り除いただけだ。

次の時代のマネジメントは、リーダーが仕事の時間をどれだけ効率的に管理するかによって定義されるものではない。仕事が移行した後、意図的に時間をどうつくり出すかによって定義される。これまでと異なる考え方ができる時間。環境の変化よりも速く学ぶことができる空間。結果がわからなくても実験できる余地。

仕事の未来において、AIはキャパシティ(受容能力)を生み出す。リーダーシップは、そのキャパシティを何に使うのかを決める。

すべての瞬間を埋めようとするリーダーは、組織を疲弊させる。時間をつくる術を知るリーダーは、「次に訪れるもの」を解き放つだろう。

forbes.com 原文

翻訳=米井香織/ガリレオ

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