自動化が生産性を高めても、影響力が高まらないとき
その結果、失敗するパターンが増えている。変革を伴わない自動化だ。
変革を伴わない自動化とは、生産性は向上するものの、リーダーシップが変わらない状態を指す。組織は忙しく感じながらも、停滞している。業務遂行は加速するが、方向性は不明瞭になる。書類上では効率的に見えるが、将来の価値を生み出すような思考プロセスに、人々が参加することはまれだ。
AI駆動型の組織において希少なリソースは、もはや業務遂行ではない。人間の判断だ。
このシフトが困難な理由は、ツールの問題ではなく、アイデンティティーの問題にある。
ほとんどの管理職は、自らの能力や決断力、信頼性によって昇進してきた。「答えを持っていること」でリーダーになった。しかし、空白が生まれ、オンデマンドで答えを要求されなくなると、リーダーシップはむき出しのものとして感じられる。割り当てる仕事も、下す決断もないと、リーダーはコントロールを失ったと感じる。空白は居心地が悪い。
その不快感こそ、多くのリーダーが、空白を活用する代わりに急いで埋めてしまう理由だ。
AI駆動型の組織において、リーダーがやり方を変えるべきこと
だからこそ空白をつくることは、リーダー自身から始まらなければならない。
自らのスケジュールに空白を設けることを拒む管理者は、他者のスケジュールに空白があることも許容しない。あらゆる空白が即座に会議や進捗報告で埋められれば、チームは、「思考の時間」が安全でないことをすぐに悟る。リーダーが「探求を任意、実行を義務」とすれば、イノベーションは、緊急性との競争に決して勝つことができない。
リーダーが実際に起こすべき変化は、微妙だが強力だ。
まずは、自分自身の時間の再設計から始まる。空白の創出は、偶然に起こるものではない。リーダーはまず、自分の時間が実際どこに消えているのかを理解する必要がある。
ナワズが呼ぶところの「時間のポートフォリオ」を可視化すると、多くの場合、不都合な真実が明らかになる。つまり、人を導いたり方向性を示したりすることよりも、メールやメッセージ、内部の雑音への対応に、はるかに多くの時間を費やしている、ということだ。
リーダーは、小さな非構造的思考の空間を守らなければならない。その時間を、自動的にスケジュールに戻してはいけない。ナワズが指摘するように、「会議の終わりに私たちの多くは何をするでしょうか? すぐにセカンドモニターに目を向け、メールやSlackの着信を確認するのです」


