欧州

2026.01.23 08:00

ロシア軍が戦車を再び前線に投入 ドローンと連携の新戦術、膠着打破につながるかは疑問

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だが現在、装甲車両などの大規模な移動は偵察ドローンに即座に探知され、続いて攻撃目標になる。装甲部隊の多くが行動する市街地やその周辺には地形的な隘路が数多くあり、戦車1両が撃破されるだけで進路が遮断され、攻撃が停止することもある。ひとたび戦車1両が行動不能に陥ると、残りの戦車は容易な目標になる。2025年初め、ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州ポクロウシク近郊で行った戦車突撃はまさにその実例だった。

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ロシア軍は10年以上前からドローンを戦術に組み込んできたが、新たな戦術では従来砲兵が担っていた役割を実質的にドローンが代替している。砲兵は引き続き重要であるものの、この変化は、損害をもたらす最大の要因がドローンになっているという戦場の全般的な趨勢を反映している。

新たな戦車戦術の問題点

声明で説明されている戦術はロシア軍の従来の戦車戦術を大きく転換することを意味するが、ロシア軍の作戦を制約してきた、より広範ないくつかの課題に十分対処するものにはなっていない。第一に、分散し、機動的に動く戦車は、ドローンの集中攻撃に対する耐性が高まるとはいえ、脆弱なことに変わりはない。ウクライナ軍のドローンは通常、直接照準射撃の射程外から運用されており、戦車がドローン操縦士を制圧する能力は限られる。

さらに、射撃を行う戦車は音響シグネチャーでも視覚シグネチャーでも容易に探知されてしまう。この脆弱性は、より高度なセンサー能力や自動探知アルゴリズムがドローンに組み込まれるにつれて、さらに高まることが予想される。

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この機動戦術は、戦車のペアとそれを支援するドローンとの信頼性の高い通信リンクや、支援対象となる歩兵部隊との連携にも依存している。ウクライナ軍の電子戦能力はこうした要件を複雑化させる。通信リンクを劣化させたり妨害したり、断続的に遮断したりすることで、連携の有効性を低下させ、部隊が孤立するリスクを高めるからである。

ロシア軍にとって、もうひとつ大きな課題になるのが兵站である。戦車は戦術展開や作戦継続のために大量のディーゼル燃料を必要とする。しかしロシア軍は現在、前線部隊への水や糧食、弾薬の補給に苦労しており、補給車両は、とりわけ前線近くで行動する際、ウクライナ軍のドローンに頻繁に攻撃されている。こうした状況下で戦車を再び作戦に投入すれば、兵站システムの負担はさらに増し、ドローンによる持続的な監視・攻撃下で、信頼性が高く防護された補給を確保する必要性がますす高まることになる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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