ロシアは和平交渉が続くなかでも、ウクライナの領土を奪い取るため大規模な攻勢を続けている。過去1年ほどの間、ロシア軍の突撃は主に下車歩兵による波状攻撃で構成され、ときにはオートバイや全地形対応車、さらには馬まで使用されてきた。こうした作戦で顕著に欠けているものが、かつては威容を誇った戦車部隊である。ウクライナ軍の自爆型や爆撃型を含むFPV(一人称視点)ドローン(無人機)による脅威のため、ロシア軍の戦車部隊はおおむね戦闘から遠ざけられてきた。
ロシア軍はこれまで、戦車を戦場に復帰させるため対処策をいくつか試みている。ネットや即席の防護シェルの装着はその一例である。しかし、これらの取り組みは限定的な成果しか収められていない。装甲車両による効果的な支援を欠いた歩兵突撃は、速度が遅く、露出も大きく、ウクライナ軍の火力に対してはるかに脆弱になる。その結果、多大な損害を出し、得られる戦果は限られたものとなっている。
こうしたなか、ロシア国防省による最近の声明は、ロシア軍が装甲車両を再び戦闘作戦に投入するため新たな戦車戦術を採用していることを示唆している。
ロシア軍の新たな戦車戦術
昨年12月に出されたこの声明からは、ロシア側が新たな戦術によって戦車を戦闘に復帰させたい考えであることがうかがえる。この戦術では、戦車2両をドローンによる継続的な支援と組み合わせて運用する。1両は敵側から十分離れたスタンドオフの位置から砲撃し、もう1両は接触線に向けて迅速な前方機動を行う。ドローンは目標の探知や射撃修正、戦場の状況認識を提供することで、戦車側の移動と火力の調整を支援する。
2両は静止目標になるのを避けるため頻繁に役割を交替しながら、敵陣に対して相当な量の火力を浴びせ続ける。この戦術の主眼は、敵のセンサーや打撃システムの同期を崩しながら前進を図り、即時かつ決定的な突破を達成することにある。
ここに見える戦術は、ロシア軍の伝統的な戦車戦術と大きく異なっている。ソ連式ドクトリンでは、戦車と砲兵を組み合わせた機動が重視される。攻撃は通常、猛烈な集中砲撃から始まり、直後に大量の装甲車両が、砲撃で弱体化した目標エリアに進撃する。これら集中投入される戦車は機械化歩兵と連携して、残存する防御部隊を圧倒し、目標を確保することを狙う。その後、砲兵をより前方に配置して、同じプロセスが繰り返される。



