北米

2026.01.24 12:00

世界的な「資本戦争」が起こる可能性、ヘッジファンド界の巨人レイ・ダリオが警鐘

Amal Alhasan/Getty Images for Fortune Media

ダリオは、資本戦争について何年も前から語ってきた。すでに2018年には公にこの概念について書き始め、2021年の著書『世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか』でその考えをさらに発展させている。

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簡単に言えば、資本戦争とは、資金が武器になるときに起こる現象である。

貿易戦争はモノに焦点を当てる。関税が引き上げられ、輸入は減速し、輸出は阻まれる。資本戦争はさらに一歩進み、そもそも貿易を支える資金の流れそのものを標的にする。

ある国が貿易赤字を抱える場合、それは資金調達によって賄われなければならない。その資金は多くの場合、海外から流入する。外国政府、機関、投資家がその国の国債、株式、通貨を購入する。

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時間が経つにつれ、こうした金融的な結びつきは巨大化する。中国や日本を含む外国政府は、米国が抱える38兆ドル(約6000兆円)の債務のおよそ25%を保有している

資本戦争では、こうした結びつきが威圧や強制のための梃子として使われる。各国は外国資産を凍結または差し押さえることができる。資本市場へのアクセスを遮断することもできる。融資、投資、決済システムを制限することも可能だ。

ダリオの研究によれば、このパターンは歴史を通じて繰り返されてきた。

彼はその例を1600年代までさかのぼって示す。当時、ネーデルラント連邦共和国(オランダ共和国)は海上封鎖を用いて世界貿易を支配し、ポルトガルのような競合国を重要な航路から締め出し、最終的にはポルトガルやスペインの交易帝国を破綻へと追い込んだ。第一次世界大戦前には、ドイツがロシアの欧州資本市場へのアクセスを制限し、それがロシア経済を弱体化させ、国内不安を助長したと指摘する。また、第二次世界大戦に至る過程では、米国による対日石油禁輸を含む禁輸措置や資産凍結が、戦闘が始まるはるか以前から経済的圧力を高めていたことを強調する。現代の紛争では、ロシア、イラン、北朝鮮に対する制裁を例に挙げ、資産の凍結、ドル取引の禁止、国際決済システムからの排除が、貿易、政府支出、軍事活動を賄う能力を制限するために用いられてきたと述べる。

この種の争いにおいて、米国は特異な力を持っている。ドルは世界の基軸通貨であり、世界の貿易と金融の大部分はドルを通じて行われているからだ。世界の中央銀行準備の約60%が米ドルで保有されているという事実が、米国に国際金融システムに対する影響力を与えているのである。

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翻訳=江津拓哉

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