リーダーとして、あるいは管理職を目指す者として、この2026年にぜひ身につけるべきスキルがあるとすれば、それは「問う力」だ。
筆者は長年、リーダーたちと仕事をするなかで、また、自分自身がシニアマネジメントやリーダーの役割を担ってきたなかで、実感したことがある。それは、「正しく問うこと」によって、労力や時間の無駄をかなり省くことができ。AIに頼らずとも、洞察力を研ぎ澄ますことができる、ということだ。ついでに言えば、AIの活用についても効果が上がる。それは、AIに与えるプロンプトが適切なものになるためだ。
「問う力」がリーダーシップの最重要スキルである理由
リーダーとして正しく問うと、次のような効果が期待できる。
・自分の創造力の幅が広がる
・チーム内にイノベーションの文化が育つ
・気付いていなかった可能性が見えるようになり、新たな市場を模索するきっかけになる
・克服できないと思っていた課題の解決策が見つかる
・チームメンバーとの関係が深まる
・メンバーの強み、目標、価値観を理解した上でチームをリードする
・ステークホルダーとのパートナーシップを強化する
・自己認識や当事者意識を高め、説明責任を育み、優れた成果を実現する文化を形成する
この記事では、見識のある良きリーダーになるための「問いかけ」を紹介する。まだリーダーの役職についていない人も、こうした問いかけを習慣にしていけば、職場での人間関係が深まり、キャリアアップやビジネスの成長機会につながったり、昇進の候補として注目されたりするだろう。
しかし、問いかけの具体例の話に入る前に、まずは確認しておきたいことがある。ベストなタイプの問いとは「オープンクエスチョン(開いた問い)」だ、という点だ。
オープンクエスチョンとは何か
書籍『Coaching for Performance』の最新版で、共著者のジョン・ウィットモアとティファニー・ガスケルは、「オープンクエスチョンには、自分の言葉で答える必要があり、気づきを促進する」と述べている。
「イエスかノーで回答させるクローズドクエスチョンは、断定によって正確さが犠牲になることに加えて、さらなる探求への扉が閉ざされてしまう。相手に考えさせることすら生まれない。オープンクエスチョンの方が、気づきと責任感を生み出すという点で、はるかに効果がある」
イノベーションや気づきを生み出す効果が高いオープンクエスチョンは、次の語から始まるものが多い。
・What(なにが)
・Who(誰が)
・Where(どこで)
・How(どのように)
なお同書では、「Why(なぜ)」で始まる問いは、説明責任ではなく防御的な態度を相手から引き出すため、逆効果だと指摘されている。
筆者は、12人のチームをマネジメントしていたときに、気付いたことがある。評価の面談で、「君たちの業務成績を(○○というKPIレベルに)戻すには、何を変える必要があると思うか?」「どんなリソースやサポートが必要だと思うか?」と問うと、メンバーは必ず、自ら行動計画を作り始めた。
彼らは筆者のことを、そこまで恐れる存在ではないと見るようになる。つまり、「ボス」というよりはコーチだと認識するのだ。目標へのコミットメントも高まり、なんと、チームは月次KPIを140%も上回る成果を出し、地域の他のチームを圧倒する好成績を残し続けた。
なぜか?
それは、「直すべき点」を指摘するのではなく、適切な問いを投げかけたからだ。



