鈴木:あなたは、利他的なトップであると社員から思われていますか。どんな時でも、私心を脇に置いて会社の未来のために決断し、行動できるリーダーだと思われていますか。
CEO:だといいのですが、まだそこまで私のことを知らない社員も多いでしょうね。でも、今話していて、社長というのは圧倒的に利他的でなければならないと思いました。
鈴木:利他的とは、要するにどういうことなのでしょう。
CEO:やはり、ぎりぎりの状況で、どちらを選択できるかだと思います。日頃ご飯をご馳走したり、相手の成長のために仕事を任せたりといった、表面上は利他的な振る舞いは誰にでもできる。
でも、自分の評価やエゴを守るAか、痛みを引き受けてでも、会社と社員の未来を選ぶBか。こういった極限の場面でこそ、本当の意味で利他は試されるし、そこでBを選択できる人こそ社長なのではないか、と思います。
仮面に騙されるな「その利他は本物か?」見極める方法
自己保身か、会社と社員のためか。その選択を、逃げずに引き受けて利他を取る。それが社長という役割なのだと、彼はひとつの仮説にたどり着きました。それを受けて、私はもう一歩踏み込んだ視点を提供しました。
鈴木:私が知っているある会社の経営者は、役員を選ぶときに、その人が利他的かどうかを最も重視すると言っていました。セルフィッシュな人は、どれだけ優秀でも役員にはしないそうです。
CEO:それは、なぜですか?
鈴木:過去に、利己的な判断をする経営チームによって、会社の存続が危ぶまれる事態に陥った経験があるからだそうです。社長一人が利他的であっても、経営チームがそうでなければ、組織は長く持たない、と。
CEO:なるほど……。でも、利他的かどうかは、どうやって見分けるんでしょうね。
鈴木:その方は、3つのチェックポイントがあると言っていました。
ひとつ目は、他人の成功を心から喜べるかどうか。会議などで誰かの成果が共有されたときの、ほんの一瞬の反応に表れるそうです。ふたつ目は、評価者が見ていない場面でも行動が変わらないかどうか。見られているときとそうでないときで態度が変わる人は、危うい。そして3つ目は、向き合ったときに、安心して話せるかどうか。利己的な人といると、会話は成立しても、心がどこかざわつくと言っていました。
CEO:とても腑に落ちますね。そう考えると、社長というのは、自分が利他的であるだけでなく、利他的な経営チームをつくれる人でもあるのかもしれません。


