メキシコ産アボカドを米国向けにプロモーションする業界団体「アボカド・フロム・メキシコ」は、大胆な戦略転換に踏み出した。
約1億2800万人が視聴するスーパーボウルから距離を置き、より的を絞った低コストの施策が可能な大学フットボールに注力を開始したのだ。
2015年、スーパーボウルのCMを初めて放映したアボカド・フロム・メキシコは、印象的な8音のジングルによって一気に知名度を獲得した。その後の8年間、スーパーボウルでの広告展開を通じてブランドを浸透させていった。
メキシコ産アボカドの消費拡大を目指すCEOのアルバロ・ルケは、「スーパーボウルが私たちのブランド戦略の出発点だった」と振り返る。2014年以来、アボカド・フロム・メキシコを率いる彼は、「スーパーボウルは米国で最もアボカドが消費される日だ。昨年の消費量は過去最高だった」と語る。
しかし、同団体は直近2シーズンのスーパーボウルにCMを出しておらず、2月8日の試合でも広告を出さない予定だ。その代わりに、現在は大学フットボールのプレーオフでの集中的な告知に力を注いでいる。
ただし、スーパーボウルの広告がもはや効果を失ったというわけではない。2014年から2021年にかけて、メキシコ産アボカドの米国向け出荷量はほぼ2倍に増え、年間約109万トンに達した。1人あたりの消費量も年間約4キログラムへと拡大した。団体側はこの成長の多くを、「消費者と小売業者の双方に向けた認知度向上の取り組みによるものだ」と説明する。
スーパーボウル前の2週間には、メキシコから米国へ6分に1台のペースでアボカドを積んだトラックが向かい、試合週の小売販売量は、通常の週を32%上回る。とはいえ、成長のスピードは鈍化しつつある。アボカド・フロム・メキシコは、より高い投資対効果を得るには、新たな打ち手が必要だと判断した。
フットボール観戦に欠かせない「アボカド」料理
スポーツファンが自宅で試合を観戦する際に欠かせない料理の一つが、新鮮なアボカドをたっぷり使ったワカモレだ。ルケとアボカド・フロム・メキシコは当初から、試合日にワカモレが欠かせない存在であることを踏まえ、フットボールに商機があると考えた。実際、同団体が最近実施した調査では、フットボールファンの44%が日曜の観戦時に「常に、もしくはほぼ毎回」ワカモレを食べていることが判明した。さらにワカモレは通常、1回の料理で3個以上のアボカドを使うため、販売数量を押し上げやすいメニューでもある。
フットボールには、季節面での利点もある。夏場は、メキシコ産アボカドが、カリフォルニアやチリ、コロンビア、ペルーなどの他国産アボカドと、店頭の棚スペースを争うことになる。だが、多様な気候を持つメキシコだけが年間を通じて大規模な収穫を維持できる。その結果、寒い時期には米国市場におけるメキシコ産アボカドのシェアは90%を超える。つまり、フットボールシーズンに合わせて購買を喚起することが、メキシコ産アボカドの消費拡大につながる。



