マーケティング

2026.01.24 14:00

露出は30秒12億円のスーパーボウルCMより「大学フットボール」で 米アボガド団体の賢い広告戦略

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一方、スポーツマーケティングのコンサルタントで、南カリフォルニア大学マーシャル・スクール・オブ・ビジネスの非常勤教授、デービッド・M・カーターは、「メキシコ産かどうかを気にして買う人はほとんどいない」と話す。そのため重要になるのは、商品選択の場面ではなく、購買が集中する時期を押さえることだ。

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「自動車業界や映画業界も、スーパーボウルのような全国的なイベントに合わせて同様の季節戦略を展開している」と指摘するカーターは、「アボカド・フロム・メキシコは、購買プロセス全体に訴求できる手法を取っている」と述べている。こうした戦略の有効性を見込み、同団体は2025年度のマーケティング予算の約4分の1の1300万ドル(約20億円)を、フットボール関連に投じた。

高額なスーパーボウルCM

一方で、スーパーボウルを放映するNBCは、30秒枠のCMで700万ドルから800万ドル(約11億900万円から約12億6700万円)を請求すると報じられている。この額の投資を行えば、年間を通じた他のマーケティング施策に回せる資金はほとんど残らなくなる。

こうした資金面の圧迫が、アボカド・フロム・メキシコを大学フットボールへと向かわせた。同団体は2023年の一部の試合でタイトルスポンサーを務めたほか、プレーオフの公式パートナーも務めている。今年のキャンペーンでは、ファン向けの販促企画や懸賞に加え、コメディアンのロブ・リグルを起用したCMや店頭ディスプレーも展開中だ。

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昨年2月に1億2800万人が視聴したスーパーボウルから距離を置く判断は、高い露出を手放すリスクを伴うものだった。この圧倒的な露出の場を失ったことで、アボカド・フロム・メキシコのSNS上の動画再生数は、かつての水準には戻っていない。マーケティング会社Two Circlesによれば、同団体のコンテンツのオーガニック露出価値(広告費をかけずに得られた露出の価値)は、3年前との比較で47%低下した。

「地域を絞った広告」のメリット

ただし、大学フットボールへのシフトは、単にコストのみが理由ではない。たとえば、これまでアボカドの売上はスーパーボウル前に急増する一方、試合後の数週間で大きく落ち込むことが多かった。アボカド・フロム・メキシコは、フットボールとの関係を、より長期的に築こうとしている。その点で大学フットボールは、「スーパーボウルのように1日だけに集中するのではなく、シーズンを通じて約1600試合が行われる点がメリットだ」とルケは説明する。

「昨年は10月から12月にかけての消費量が前年比で6%増え、この時期としては過去最高を記録した。大学フットボールでの露出が、確実に販売数量を押し上げている」とルケは語る。

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翻訳=上田裕資

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