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2026.01.22 10:30

CESから消えた「SONY」──会場の外で見えた“二つの身体”

CES 2026はラスベガス・コンベンションセンターで開催された(Tayfun Coskun/Anadolu via Getty Images)

CES 2026はラスベガス・コンベンションセンターで開催された(Tayfun Coskun/Anadolu via Getty Images)

CES 2026、外観、内装ともに一新されたLVCC(ラスベガス・コンベンションセンター)のセントラルホールに巨大な「SONY」ブースが置かれていたのは昨年までのことだ。最も奥まった、他ブースとの交わりを拒絶するかのような位置にあった、人の流れを引き込む場所は存在してない。

この記事を脱稿した直後、ソニー(ソニーグループではなくエレクトロニクス製品子会社であるソニー)がTCLとの提携を発表。この件に関しては、別途、詳細な分析を明日にでも掲載したいが、そもそもCESでの展示は“ソニーグループ”が主体となり、ここ数年、テレビが主役とはなっていなかった。

そうした意味では、ソニーとCESの関係は過去数年をかけて変化していたと捉えるべきだろう。ソニーのテレビ事業は依然として競争力のある画質を誇っているが、基幹部品は生産しておらず、少量・高付加価値路線に切り替えていた。

同じ場所にあるのは規模を縮小した上でSony Honda Mobility(SHM)のブースである。

まだこのジャンルでは挑戦者にしか過ぎないSHMが、今年から北米にデリバリーが始まるAFEELAを置く場所として適切だとは思うが、ソニーという企業の持つブランド力を考えるなら、ブラビアもプレイステーションも、撮像センサーの「次の一手」を匂わせる展示もないのは少々寂しいと言わざるを得なかった。

しかし、CESから姿を消したように見えるものの、メイン会場の喧騒から離れた高級ホテル、ベラージオのスイートルームには“SONY”の文字があった。

現在は会長に退いている吉田憲一郎氏が強調していた、エンターテインメントコンテンツを生み出すクリエイターをサポートし、エンターテインメント価値を生み出していくソニーの役割。

その役割をCESのど真ん中で抽象的に見せるのではなく、制作現場と制作プロセスを踏まえた上で新しいデファクトを確保するため、密室で密度の濃いデモが行われていた。

「車」ではなく「ロボット」としての身体性

まずはAFEELAに関して。

SHMの川西泉社長兼COOにインタビューすると、CES 2026のテーマにもなっているフィジカルAIについて冒頭で次のように話した。

「僕は自動車に取り組む前、ソニーではAIロボティクスという部署を率いていました。AIBOのようなAIが組み込まれたロボットが、私たちの原点なんです」

SDV(Software Defined Vehicle)──ソフトウェアで価値定義される自動車──とは、そもそもの“出発点”が違う。SDVが生まれてきた文脈を振り返ると、「車が先」にあり、その再定義を行うツールとしてのソフトウェアがある。

ところが川西氏のコンセプトは逆だ。

まず「人を乗せて移動する自律型ロボット」として要件を置き、そこにモビリティとしての物理的信頼性を足していく。ホンダが100年近く積み上げてきた「壊れない・止まらない・危ないことをしない」ノウハウを注入しながらも、その中心にあるのは家族の心を豊かにしてきたエンターテインメントAIロボットのノウハウ。自動運転で開放されるパッセンジャーに、より豊かな移動体験をもたらす“一種のロボット”の身体に、ホンダのノウハウを注入するという順番である。

実際にAFEELAのデモを体験すると、その思想は言葉より先に伝わってくる。

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編集=安井克至

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