真の投資テーマ
多くの観察者が見落とす点がある。投資対象としては、ロボット本体が最適とは限らない。
人型ロボット市場は混戦だ。テスラ、Figure AI、Agility Robotics、Unitreeなどに加え、少なくとも十数社が競合プラットフォームを開発している。価格は、テスラが量産時に2万〜3万ドル(約316万〜474万万円)を見込む一方、産業用ユニットは25万ドル(約3954万円)超のものまで幅がある。量産規模が拡大するにつれ、利益率は圧縮されるだろう。
供給制約がかかるのは別の部分だ。メーカーを問わず、どの人型ロボットにも共通して必要になる中核部品がある。知覚のための高度センサー、動作のための高性能アクチュエータ、リアルタイム処理のためのエッジAIチップである。これらのサプライチェーンは制約を受けている。
「目と脳」に当たる領域では、Ambarellaのように、ロボットが周囲をリアルタイムで認識するためのエッジAI向け画像処理プロセッサを手がける企業がある。Ousterは3D空間認識のためのLiDARシステムを供給する。ソニーはAIシステムへ入力する高解像度のイメージセンサーを供給する。
「筋肉」に当たる領域では、Harmonic Driveがロボット関節で滑らかかつ高トルクの動きを実現する精密減速機を製造している。MoogとParker Hannifinは、AIの指令を物理動作へ変換する高度なアクチュエータとモーション制御システムを生産する。Boston DynamicsがAtlas向けアクチュエータ供給元として発表したHyundai Mobisも、サプライチェーン投資先となり得る。
部品サプライヤーは、ロボットメーカーにはない構造的優位性を持つ。複数業界にまたがる分散した顧客基盤、確立された製造規模、年単位を必要とする技術的な参入障壁である。どの人型プラットフォームが主流になっても、部品側は恩恵を受けやすい。
結論
Atlasはもはや試作機ではない。確約された顧客であるグーグル・ディープマインドとの提携、そして年単位ではなく月単位で進む配備タイムラインを備えた製品なのだ。
CES 2026の物語は、実演から配備へというシフトだ。ただし投資家にとって、より良い機会はロボットそのものではないかもしれない。人型ロボットが動くために必要な「目・脳・筋肉」をつくる企業こそが焦点になる。


